神奈川県立平塚盲学校学校運営協議会 開催結果 本学校の学校運営協議会を下記のとおり開催した。 審議会等名称:神奈川県立平塚盲学校 第3回学校運営協議会 開催日時:令和5年2月28日(火曜日) 開催場所:本校会議室 出席者:令和4年度平塚盲学校 学校運営協議会委員7名(本校校長を含む)、欠席2名 令和4年度平塚盲学校 学校運営協議会事務局教職員委員10名 次回開催予定日:令和5年6月29日(木曜日)予定 問い合わせ先:平塚盲学校 副校長 福島 敏行 電話 0463-31-1341 FAX 0463-31-5996 下欄に掲載するもの 会議資料 ・令和4年度 学校目標に係る校内年度末評価 ・令和4年度 学校評価アンケート ・令和4年度 学校要覧 【内容】 1,学校長挨拶 校長 萩庭圭子 本日は令和4年度の成果を皆様に報告すると共に、力が及ばなかった点についても多くのご意見、ご助言を頂戴したい。 令和4年1月27日に入学者選抜試験を実施した。学科試験の他、全員に校長面接を実施した。その場で入学の意志および学校のルールを守り、健康管理に十分注意して勉強に励むことを確認した。  令和5年度は、普通科4名、本科保健理療科2名、専攻科理療科4名、専攻科保健理療科2名の計12名に、小学部1名を加えた13名を新入学生として迎える予定である。 2.学校評価部会(学校目標に係る年度末評価) (1)視点1 教育課程、学習指導 配付資料参照(補足説明) 公民の教科書1冊が拡大版だと7冊分になる。普1ではpdf版拡大教科書をタブレット端末で使用している。慶応大学と連携しタブレットにダウンロードして利用している。定期テストをタブレットで受ける生徒もいる。 ※実際にpdf版拡大教科書をみていただく(タブレット端末)。 <質疑応答> A委員:英語の発音が先生と違うという生徒からの質問は出ていないか。 回答:今後出てくるかもしれない。 (2)視点2 幼児児童生徒指導・支援 配付資料参照(補足説明) 学校全体の専門性を高めるために、読速度検査法の教員向け研修を実施した。また、各部リーダーと連携しケース会などを開催した。 <質疑応答> A委員:読速度検査でルーペを使用している生徒の場合どのように検査を実施したのか。 回答:眼鏡を使用している場合は眼鏡をかけた状態で実施。ルーペを使っての読速度検査は実施していない。 A委員:読速度検査の結果をどのように活用しているのか。 回答:UDデジタルフォントを使っていたが、見えにくいのではないかと気づき、より細いフォントに変えた事例がある。また字が小さい方が読みやすいことがわかり、教科書の文字サイズを変更した事例もある。 (3)視点3 進路指導・支援 配付資料参照(補足説明) 理療科では3つの柱に沿って実施した。 ①国家試験合格 模擬試験結果を通じて学習意欲の向上や自己の弱点の把握が可能となり、学習時間を増やしていた。国家試験は2月25日、26日に実施。合格発表は3月24日である。 ②職業自立 夏季現場実習を生徒のニーズに合わせて実施。見学実習も8カ所実施した。 ③地域へ出ていく クイックマッサージを今年は湘南ベルマーレのイベントに参加して実施した。 他の生徒にも希望者がいたが、実施が夏季休業に入ってから決まり準備期間が取れなかったため、理3の生徒のみ参加となった ※進路先等についての補足 今年度の保専部の卒業生は7名。1名は筑波大学理療科教員養成施設への進学、もう1名は他校の専攻科への進学が決まった。他の生徒は就職を希望しており、国家試験の合否を踏まえ就職活動を進めていく。 <質疑応答> B委員:内定者が国家試験不合格になった場合どうしているか。 回答:不合格時には内定取り消しとなる。 B委員:美容・理容の国家試験は2回行う。3月31日が合格発表だが4月1日から勤務が始まる。そのため不合格の場合でも雇用を継続し、免許がなくてもできる業務を担当する。収入がないと再度国家試験を受験するモチベーションがなくなってしまう。 回答:このような視点はなかったので参考になった。 C委員:就職後のフォローはどのように対応しているのか。 回答:アフターフォロー期間は3年間、実施している。就職先への訪問とは別に、電話等で状況を確認している。トラブルになりやすいのは雇用条件の相違についてである。本校がハローワークを通じて就職活動をしているのはそうした場合に介入していただくためでもある。労働条件通知書のコピーを生徒から任意で提出してもらい、問題があれば就職先を訪問し対応する。 (4)視点4 地域等との協働 配付資料参照(補足説明) ①相談支援を数多く実施し赤ちゃんにも対応した。視覚補助機器展示会を開催し地域の小学生等も来校した。 ②弱視級が設置されていても対象の児童が卒業すると弱視級が無くなってしまう。その時点で視覚障害に対する支援のノウハウがなくなる。そのため担任も別の業務に移り視覚障害教育の専門性が蓄積しにくい。 小学校から中学校への引継ぎの際に同行し、見え方の理解に関する支援をおこなった。今後、視覚障害理解のための基礎的な部分について整理していきたい。 <質疑応答> C委員:ボランティアが来ているときに平盲の先生に来ていただき、有用なお話を聞くことができた。 回答:マスクほぐし等の作業をしながらボランティアの方から話を伺えた。小学生の時に支援級の方と遊んでいた経験がボランティアに繋がっている。早い時期に色々な方と係ることでボランティアに参加される方が増えると感じた。見えにくさがある方はまず眼科にいくので、処方箋を貰った後の相談先として盲学校があることを伝え、ロービジョンケアをしていきたい。 (5)視点5 学校管理 学校運営 配付資料参照(補足説明) ①感染症防止対策を継続しているが、少しずつコロナ以前に戻している。今年度の卒業式に保護者の参加は実現できたが、来賓はまだお招きできていない。 ②防災訓練で新規に避難経路上に障害物を置いた訓練も実施した。また、防災物品の保管場所を整理しどこに何があるかをまとめた。 ③本校が平塚市の福祉避難所指定を受けた。他の福祉避難所での盲導犬を利 用する視覚障害者の受け入れは0件だったとのこと。福祉避難所は立ち上げが遅くなり184日もかかった事例の説明を受けた。 ④日中に校門を閉める対応(点字ブロックの幅は空けておく)に戻した。 ⑤通学路の点字ブロックの整備を実施していただいている。 ⑥令和5年度のプールの再開に向けて対応を進めている。 <質疑応答> B委員:本校ではマスクへの対応をどのように考えているのか。 回答:これまでマスクをしてたので、したい人はしてよい、外したい人は外してよい。自己判断となる。 A委員:福祉避難所での避難時用の毛布等の備品類はどうなっているのか。 回答:学校の生徒分は県から支給されている。福祉避難所分は平塚市から預かっている。もし不足した場合は平塚市が学校へ運び込むことになっている。 C委員:本校の各門扉はどのように使いわけているのか。 回答:正門は通学路。防犯カメラ設置済。南門は業者の搬入等で利用。防犯カメラは無い。細い道路があり、不審者情報も出ているため通学路としては使用しない。西門はゴミ置き場があるのでその回収時や消防車用の出入口として使用する。 ※追加事項 学校生活アンケートの報告 ①いじめ防止アンケートを年2回実施した。対象は小、中、普の児童生徒。 8月と1月に実施し、回収率は95~98%。欠席で提出せず未回収のものがある。 ②回答にからかいや陰口、こんなことを言われて嫌な気持ちになった等の記載があった。担任等が聞き取りを行いその内容を学部等で共有したが、いじめとしての認定はなかった。日頃のコミュニケーションの指導、友達とどのように学校生活を送っていくかの指導を継続する必要がある。 3.学校評価アンケート結果について <質疑応答> D委員:アンケートを次にどう生かすかが重要である。4段階評価でそれぞれの段階の下に評価1と2、評価3と4とでまとめて割合を出している理由を知りたい。 回答:令和2、3年度も同様の形式。肯定的か否定的かに分けている。 D委員:このまとめ方では十分ではない。評価1はそのまま受けとめてよいが、評価2は質問に2割程度当てはまる人が選び、評価3は質問に3~4割程度当てはまらない人が選択する傾向がある。評価2と3を共に一部課題が残っていると捉えないと次への改善は難しい。例えば「視覚障害教育の専門性」の項目では、評価1が50%、評価2と3を併せると50%となる。何らかの課題がある人が50%いると考えれば課題がみえるのではないか。 C委員:私のところでも年1回保護者、職員のアンケートを取っている。アンケート結果を受け、評価3と4にかかわる点への対応に重点を置いていた。評価2への対応も行うことで幅のある対応ができると感じた。アンケート調査だけでは保護者に伝わっていない点がでてくる。新年度の最初の面談から昨年度の課題を改善していくように取り組むことが大切と考えている。 C委員:安全・快適な生活、安全教育に不安があるとなっているが、視覚障害のある生徒がどういう部分で不安を感じているか知りたい。 回答:何がという具体的な部分は聞き取れていない。ご指摘のとおりの課題 がある。 4.「切れ目ない支援部会」令和5年度実施に向けての指針(課題と対応策) ①盲学校を知ってもらうきっかけづくりについて 前回、委員の皆様から地域の方々が興味を持っていただけること、学校へ行ってみたいと思うような仕掛けをしてはどうかと提案していただいた。 これまでも学校見学は随時受けている。夏休み、地域の小中学校の先生の見学を受けた。これまでは校内で手話、点字書き取りなど自校でできることを行っていた。 9月に入り見学の申し入れがあり、2回受け入れた。12月に小4の40人を20人1グループの2グループに分けて2日間受け入れた。さらに20人を10人のグループに分け、一方は校内の見学をしてもらった。 廊下にも点ブロがあることや柱の角のクッション材があることを気付いてくれた。もう一方は、図書館で点字本や拡大読書器を使って読書をすることなどの説明をした。自分たちの図書館にもある本が盲学校にもあることを知り驚いていた。 体育ではバレーボールの見学をしてもらった。その後、小学部の授業見学があり、小学部の先生が見学の子供たちに「一緒に走りませんか」と声をかけ、一緒に走る機会があった。小4の児童からはこんなに走れるとは思わなかったなど感想があった。 続いてソーラン節のような踊りを小4の子供たちに見てもらい、その踊りを同じことをまねて踊ってもらった。話を聞くだけでなく、見学し、一緒に活動することでより深く知ってもらえることを改めて気付いた。質問として、休み時間に何をやっているのかとあった。本校小学部ではサッカーが流行っていたので、小4の子供たちにもビブスを来てもらい、一緒にプレーした。プレーしているうちに学校別ではなくチームになっていた。ゴールを決めた本校児童に、自身がサッカーを習っている小4の子供がすごいと一緒に喜んでくれていた。 また盲学校ではどうやってノートを取っているのかと質問があり、盲学校では見え方もいろいろあるので、個々のやり方に合わせてノートを取っていると答えた。 図形についてもコンパスを使っていることや地球儀を触って勉強していることを伝えると、同じように勉強していて、触れるような工夫をしているだけだと気付いてくれた。 UNO(ウノ)を一緒にやり、オセロにも白面と黒面で触って分かるようなざらざらした面とつるつるした面の工夫があることを説明し、一緒にできることを伝えた。 給食ではどうやって食べるのかと質問もあった。普段の給食で使用している食器を見せ、箸やスプーン、フォークを使って同じように食べていることを知ってもらった。結論は、「なんだ、一緒なんだ。」と知ってもらったこと。 <質疑応答> A委員:コロナ禍で中断されていたと思うが、以前は崇善小学校と交流を持っていた。今は交流を持っているのか 回答:復活していない。コロナ禍前に交流があった幼稚園の先生からは良い取り組みだったからまた復活したいと言われている。 A委員:崇善小学校と交流していた頃の生徒が平塚盲学校の先生になったこともある。大人たちは福祉教室へ出かけていることが多いが、盲学校に来てもらって児童生徒と接することで、より深く知ってもらえると思う。 C委員:私のところでも福祉学習の一環で来園するボランティア部の学生さんたちが子供たちと遊ぶことで驚きがある。同じ時間を過ごしてもらうと、一緒に遊べることや交流が持てることを知ってもらえると障壁がなくなる。先生がとても楽しそうというのがとてもよい。子供たちに盲学校のことを知ってもらうことが重要で今後も続けて欲しい。 回答:子供たちが来てよかったと思えればいい。今後の生き方につながればいいと思う。40人のうちの1人だが盲学校の先生になりたいと感想もあった。いろいろな職業に就くと思うが、ゼロの状態から大人になるのと1の状態で大人になるのでは違うと思う。 A委員:悪い例として、地域の高校生が自分を追い抜いてバスに乗り込んだが、きっと自分が視覚障害だと知らなかったと思う。席を譲ってくれたのはろう学校の生徒だった。 E委員:学校に来てもらうのは素敵な取り組みだと思う。自分の息子は地域の学校へ交流に行くと靴を履くだけで驚かれる。1年間に3回ほど行ったが、最初はどういう距離感で接すればいいのか構えているが、回数を重ねて3回目になると一緒にトランプをして遊んだり、徐々にかかわり方が変わってくる。顔が見えるかかわり方をすると親しみがわいて繋がりやすくなると思う。息子は共通の話題を探すのが難しいと言っていたが、共通のキャラクターの話題、普遍的な漫画や本の共通の話題ができれば「なんだ、一緒じゃん」と伝わった。 回答:感想、ご意見をいただいて、自分が楽しんで取り組んでいたことは、それでよかったんだと思える。感染防止対策を取りながらすぐにできること、図書館の見学やスポーツ、工作など一緒に取り組めることから始めたい。 回答:図書館見学を通して知ってもらうことからはじめたい。 ②地域と学校、お互いの行事への参加について 公民館祭など始める際はお声掛けをお願いしたい。本校では来年度体育祭があり、地域の方にも参加していただけそうなことがあればお声掛けをするのでご協力をお願いしたい。 ③幼児・児童・生徒の余暇活動の充実について 前回、ロータリークラブの取り組みを紹介させていただいた。 B委員:以前、校長先生から体育祭に招待されてリレーを見た。鈴を鳴らしている 方向へ真っ直ぐ走る生徒を見て感銘を受けた。ヘアカットに来られる方が石田牧場の方で生徒たちと一緒に何かやりたいと話をしていた。その方からの話で牛の乳しぼりをしたことがないだろうから、体験してもらおうと話になった。 子どもたちは、初めて乳しぼりを体験したが、大人よりうまくできていた。 しぼった牛乳に塩を入れバター作りをし、パンに付けて食べるという食育に繋げたい。こうやって牛乳やチーズができていると知ってもらうといい。合わせてBBQをやってはどうか。10月21日(土)は牧場の都合が良い。 回答:ちょうどその日が体育祭のため、違う日で日程調整をお願いできないか。 E委員:PTAも乳しぼり体験の運営に関わってくれる。 B委員:牧場の都合があるので2、3日候補日を出してもらいたい。8月は暑いから9月以後であげてもらうとよいのではないか。 5.会長より 報告がイメージしていたことと重なりとてもよかった。小さい時から触れ合う、これはすごく大切なことだと思う。これまでインクルーシブ教育に携っていたが、生徒からの意見で自分たちは大丈夫だが、先生が適応できるのか心配とあった。小さいとき、交流でも見学でもよいので、今やっていることが10年20年先の世の中を変えることになるので続けて欲しい。 百聞は一見に如かず、一緒にやってみることで「なんだ、一緒だ」と気付いてもらえる。気遣いや配慮で何かをしてあげなければと思われがちだが、それぞれ気遣いや配慮は違う。スポーツは一緒にやってよかったと思えるものだと思う。ユニバーサルスポーツというものがあり、これは障害者と健常者が伴にやるものでアメリカでは盛んになってきた。そのような取り組みを通して地域の子供たちへ発信し、将来子供たちが地域へ戻っていく中で理解をしている人がいれば普通に接してくれるきっかけとなる。 6.校長より 1年間お世話になりました。参加していただいている皆様からのご助言が本校の宝になる。令和5年度も地域にある学校として取り組んでいきたい。113年目を迎えるので、次年度も委員として参加していただき、本校を引き続き支えていただきたい。 以上