ひとこまコラム バックナンバー
全部! 2012/08/10更新 【チームひつじさん #2】
『バムとケロのにちようび』 ほか「バムとケロのなかまたち」絵本シリーズ 島田ゆか【作・絵】 文溪堂 (2008/06/24 出版) |
4月に着任した学校は単位制。図書館には朝から晩まで(定時制もあるため)生徒がやってくる。マンガや本を読み耽る、黙々と自習、パソコンで課題作成、ゲームする、寝る、友達と話す…。ひとコマ90分はけっこう長い。
定期テスト期間中には、待機場所に指定されるので、朝から鮨詰め状態の図書館。そんな中、勉強に飽きた女子生徒たちが絵本の棚を見つけてわいわい。しばらくすると「リクエスト、絵本も平気ですか?」と。手渡された紙には『バムとケロのシリーズ全部!』とある。この絵本は、犬のバムと、カエルのケロちゃんを中心にしたお話。自由なケロちゃんに振り回されるバムと個性的な友だち、それに謎のちいさい生き物たち。本文には全く触れられていない物語が、絵の中にいっぱい盛り込まれていて、ページの隅々まで目を凝らして何度も読んでしまう。それを、あまり読んだことがないという友だちに是非見せたいからとのリクエスト。いいでしょう。入れましょう。「バムケロいいよね。私も大好き。ガラゴのお風呂がすごくいいんだよね」と私が言うと、「あ!ガラゴ!ガラゴも読みたい!」「ガラゴって?」「ガラゴはね…」と友だちに説明しながら『ガラゴのシリーズ』と書き加えられている。い、いいでしょう。入れてみましょう計7冊。
後日、テストが終わって晴れ晴れしい表情で絵本を広げている二人。「このページのこれがこっちの本でね…」気がつくと静かに読んでいる。
ひとコマ90分はちょっとだけ長い。
<越地 美恵>