ひとこまコラム バックナンバー
bitter chocolate 2013/3/19更新 【チームひつじさん #9】
『チョコレートの真実』 キャロル・オフ【著】 北村陽子【訳】 英治出版 (2007/09出版) |
昨年末、高校二年生の生徒から上野の国立科学博物館で開催された「チョコレート展」のお土産をもらいました。可愛いパンダの形をしたパッケージに詰められたチョコレートでした。
私が子供の頃、チョコレートは子供のおやつでしたが、今では海外の有名なチョコレートショップが日本にも進出し、ショコラティエが腕を振るう大人の嗜好品となりました。
また、博物館で企画展が出来るほど学術的にも重要な食品と認識されるようになったのでしょう。
しかし、甘いチョコレートを味わう一方で、チョコレートの原料であるカカオには児童労働と言う悲惨な側面があることも忘れてはなりません。
『チョコレートの真実』 には、マヤ・アステカから始まるチョコレートの歴史から巨大企業が牛耳るチョコレート産業の暗部まで詳細にルポされています。
企業が不当に安い価格でカカオを仕入れるため、生産者たちはより廉価な労働者である子供たちを酷使しています。チョコレートを一度も口に入れたことのない子供たちの手でカカオが収穫されていると言う現実には胸が締め付けられます。
児童労働の背景には地球規模の貧困と格差の問題があり、容易く解決できる問題ではありません。しかし、その甘いかけらを口に入れる時、遠いアフリカの地で働く子供たちに思いを馳せ、公正な取引が行われることを祈らずにはいられません。
本校は日ごろからお菓子の持ち込みは厳禁です。バレンタインデーも例外ではなく生徒は前日厳しく注意を受けます。そのため今年も平和な彼女たちのバレンタインデーは深く静かに進行したようです。
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