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プチ特別展「10人の挿画家+6人の装丁家による宮沢賢治装丁展」2013/6/27更新 【チームやまゆり #12】
2013年3月〜5月下旬、本校図書館内で小さな特別展を行いました。「グスコーブドリの伝記」や「ポラーノの広場」など10作品を収録したオリジナルの宮沢賢治作品集に、現在プロとして活動するイラストレーター10名と装画家6名がペアを組んで(2作品参加の方も)、収録作品1つずつを表題作品として取り上げ、10種類の装丁を施して展示するという企画。どの作品も宮沢賢治の世界に装丁家・装画家の個性がmixされ、どれも宮沢賢治なのにそれぞれ違う味わいがあります。表紙だけでなく中身にも、挿絵、フォント、文字組み、栞など様々な工夫が凝らされているので、手に取って中まで見てもらうため低書架の上に並べて展示しました。
この企画は、本校芸術科教員o先生の協力で実現したものです。o先生が懇意にしている恵比寿のギャラリー「galerie malle(ギャラリー・マール)」で2012年12月に開催された装丁展が元になっており、ここで10種各20部限定販売された装丁本をo先生が購入し、図書館で展示させていただけることになりました。電子書籍が急速に広がるこの時代にこそ、見て触って味わうことのできる紙の本の良さを再認識し、また、作品世界の表現に尽力する装画家・装丁家という職業を知ってもらいたい。芸術科教員とギャラリーのご主人と図書館の、3者の思いが合わさって実現した企画です。普段の「おすすめ本」展示とは趣が違うため、生徒たちは当初触っていいのかどうかわからずおそるおそる眺めていましたが、段々と手に取って1冊ずつじっくりと見ていくようになりました。また、本校オープンキャンパス(5/11)時の施設見学で多くの来校者にも見てもらうことができました。
簡単なアンケートでどの装丁本が気に入ったかを聞いたところ、ばらつきはあったものの、中学生と高校生(男子校なので男だけですが)と大人とでは選ぶ本に少し違う傾向が見らました。中学生は宮沢作品イメージをストレートに伝えてくる装丁本に票が集中し、年代があがるにつれ票は分かれ、読む側の趣味がうかがえる結果となりました。子どもの本と大人の本では、(作り手も、選書する側も)対象を意識して装丁を変えた方がいいのかも― という小さな発見をした企画展示でした。