ひとこまコラム バックナンバー

今も昔も恋心はかわらず・・・。2013/10/30更新【チームひつじさん#16】

『小さな恋の万葉集』 『小さな恋の万葉集』
上野 誠【著】 佐藤 秀明【写真】
小学館
(2005/12出版)
恋しくって恋しくって…やっと逢えた
いまだけはどうかやさしい言葉をかけて
いつまでもと思っているなら

〜こいこいてあえるときだにうつくしきことつくしてよ
ながくとおもはば〜
(本文より)

 「うた恋い。」で和歌に興味を持ち始めた、本校の乙女たちの間で、今、ひっそりと読み継がれているのが、この万葉恋歌の訳詩集です。 冒頭でご紹介したように、単なる直語訳ではなく若者のつぶやき風に超訳しているので、せつなくなったり、かなしくなったり、くすっと笑ってしまったりと、 びっくりするほどわかりやすく共感できる内容です。口語訳の後に古語の歌がつづき、難しい言葉もすっと頭に入ってきます。 奈良で撮影された写真はときに情緒たっぷりで美しく、ときにひねりのきいたカットで、詩をさらにひきたててくれます。
 また、後半には詳しい解説もあり、より理解を深めることのできる構成です。一度、図書館報でも紹介されたせいか、ポツリポツリと貸し出しが続いています。 借り手はおとなしめの女子がほとんど。一人でそっとやってきてカウンターで言葉少なに手続きをしていきます。
 1300年前の恋心は現代に生きる生徒たちの心にどう響いているのでしょうか。
 貸出があるたびに(すてきな恋をしてね。)と心の中で語りかけながら本を渡しています。

<小松陽子>
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