ひとこまコラム バックナンバー
昼ごはんは誰と食べますか 2014/2/25更新 【チームつながる輪〜 #20】
『王妃の帰還』 柚木麻子【著】 実業之日本社 (2013/1出版) |
「誰とお弁当を食べる人かは、女の子の大問題。だから、皆からはみださないように話を合わせているので・・・疲れる」
とつぶやいた生徒がいました。また、携帯電話から目を放さずに「昼休みなんかいらない。
授業を続けてやって、早く家に帰りたい」と言う生徒もいました。
授業中の座席は決められているけれど、自由時間にどのポジションに自分の身を置くかは、
大人が口出しできない学校生活の難問の一つです。楽しい昼食・昼休みのはずですが、人の気持ちや事情はそれぞれです。
『王妃の帰還』の舞台はキリスト教系私立女子中学校です。華やかなトップグループのリーダー滝沢さんが、
不祥事でグループから外されます。中学校なのでクラスごとに給食を食べるのですが、
自由席は仲間外れには過酷なシステムなのです。見かねて地味グループ4人組が滝沢さんを引き受けることになります。
しかし、興味関心の異なる人とは話が合わず、元の友情も壊れそうになって、
滝沢さんが元の「姫グループ」へ帰れるように計画するのですが…
地味グループの範子さんは西洋史大好き少女なので、美人の滝沢さんが王妃マリー・アントワネットに思え、
心の中で学級会を公開裁判と呼んでいます。気持ちの合う生徒同士のグループが、互いに垣根を作り、序列が生まれる、
これを壊すのが「革命」―というわけで、現実の中高生にも共通する状況が、ユーモアたっぷりに語られる少女成長小説です。
<岩淵 幹子>