ひとこまコラム バックナンバー

地味だけど使えます 2015/01/29更新  【チームつながる輪〜 #31】

『使える新書 教養インストール編』 『使える新書 教養インストール編』
斎藤哲也【著】
WAVE出版
(2003/12出版)

 数か月ぶりに図書館に顔を出した3年女子。「進路が決まった」と言う。お祝いを述べて「学部は?」と尋ねると、奇妙な間が空いた。「・・・専門学校です。パティシエになりたくて」。受験勉強をしている姿ばかりを見ていたから意外で「あ、そう」と間の抜けた返事をした。当初は教員を目指し大学進学を考えていたが、お菓子作りがとても好きで専門学校に決めたという。親や周りの大人に考えなおすよう何度も言われたようで「専門学校を否定しないで」とぽそりと呟く。ちょうどそばにあった岩波新書を手に取り「あーこれ、先生に勧められて受験対策で三冊も買った!でも実らなかった・・・」と切ない声。「新書って地味だけど、すごく良いよね!小論文対策にもなるし考えが深まった。3年はもう遅いけど、今の1、2年生に新書良いよって伝えたい」。岩波新書のお薦めコメントを丁寧に書いてくれた。新書の魅力をどうにか伝えたい。彼女の手書きコメントからはそんな想いがじんわり伝わってきた。
 生徒はなかなか新書を手にしないが、本書は切れの良い文章で新書の魅力を十二分に伝えている。本書を参考に、来月は新書の展示をやってみよう。地味な本ほど頭にガツンとくる、その意外性を感じるのに新書はうってつけだ。

<藤原 いづみ>
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