ひとこまコラム バックナンバー
家族の食卓 2015/01/29更新 【チームやまゆり #31】
『銀のスプーン』
小沢真理【著】 講談社 (2011/2〜出版) *2015年1月現在の最新刊は10巻(2014/9出版) |
冬本番ですが、今年の寒気はとても強く寒い日が多いですね。そんな中、心もほっこりする作品を紹介したいと思います。
2010年から『kiss』で連載中、単行本はコミックスキスから既刊10巻発行されています。
イケメン高校生の律は、父の病死後、入院してしまった母に代わって双子の弟妹の調と奏の食事を用意したことがきっかけで、次第に料理に目覚めて行きます。才色兼備で女子から「神」「プリンス」と呼ばれている律は国立大学をめざして勉強をしながらも、弟の調、妹の奏のために料理上手の母のレシピを見ながら美味しい料理を作ろうと頑張っていました。ところがある日、律は家族の秘密を知ってしまい、失意のどん底に。その時、律を密かに想う漫画研究会に所属の同級生・倉科夕子と街で出会い、鰹節をもらいます。そのことがきっかけで律も徐々に立ち直っていきました。夕子は料理も得意で、律への料理のアドバイスを通じて彼と親しくなりますがそれ以上進展しないという恋の葛藤も描かれています。また律の友人たちとの関わりと成長も描かれていて、とても楽しめる作品です。
何よりも律の作る料理が美味しそうで、読んでいるだけで心がほっこりとしてきます。そのあとに調理のコツやレシピなどが紹介されていて、自分でも作ってみたくなります。それほど裕福ではないので、安い材料費で工夫されているところもミソで、なおかつ意外に簡単なところが嬉しいです。
根底には大変なことがあっても家族の愛で暖かになれることを教えてくれる小沢ワールド全開の珠玉の作品です。
<中村 登世子>