ひとこまコラム
乱読に納得!! 2015/04/27更新 【チームひつじさん #34】
『乱読のセレンディピティ 思いがけないことを発見するための読書術』 外山滋比古【著】 扶桑社 (2014/04出版) |
学校図書館司書の仕事で、生徒への読書のすすめ方にいつも悩みます。そんな時に読んだので、目からうろこといった感じですっと入ってきました。著書『思考の整理学』で有名な外山氏は90歳を超えられ、読書の有り様を知り尽くしていると思いました。
なるほどと思える言葉に、「読書百遍神話」「論語読みの論語知らず」「見つめる鍋は煮えない」「本は風のごとく読むのがよい」「セレンディピティは失敗、間違いの功名」などがあります。本が読まれなくなり、本離れがすすんでいるといわれる昨今の読書法と乱読の効用について書いています。昨今のあふれる出版物には良書を篩にかけるフィルタがないのだから、自分にとって良い本を探すための乱読がいい、というのです。読書への関心は、もったいぶったり禁止したり隠したりすればするほど好奇心が湧いて、強くなるものだと外山さんは書いています。自分の読みたい本は、人に勧められるのでなく、自分の感性で、自分で探し出すものだということです。
そうだとしたら、散歩のような気軽な乱読がもたらす効用を期待して、私自身が好奇心をもって本と向き合い、押し付けやおすすめというのでなく、さまざまなジャンルのものを固定観念にとらわれずに選び、生徒に用意し、さりげなくもったいぶって案内するのがいいのではないかと、なんとなくこれを読んで思えてきました。
私がいる高校の生徒の読書は、極端に好きなものや専門的なものに偏りがちです。環境に少し特色のある学校なので、彼らには発見や発想力、考える力や創造性、さらに言葉の力などが必要な場面が多くあります。彼らの日常に、まさにこの本に書かれているような思いがけないことを発見するための読書がとても大事なのではないかと思います。
読書について納得の一冊でした。
<ウーパールーパーの守り人>