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給食は今… 2015/09/30更新 【チームひつじさん #39】
『給食のおにいさん』(幻冬舎文庫) 遠藤彩見【著】 幻冬舎 (2013/10発売) |
司書にとって、選書した本が多くの利用者に読まれるのはなんといっても嬉しいもの。
逆に利用者である生徒たちからその存在を教えられ、読んで納得の本というのもあって、こちらも読者をほめてあげたい嬉しい気持ちにさせてくれる。
「給食のおにいさん」もそんな一冊。たしか書店選定で図書委員が選んできた本で、タイトルは某幼児番組に出てきそうなネーミング。カバーはマンガとも絵本とも言えそうな軽いタッチ。よくあるかわいいお仕事小説だろうと思っていたら、あれ、また貸し出されていく。続篇もリクエストされて入れたが、そちらも予約がついている。ドラマになったという話も聞かないのに不思議だ。そして読んでみて、これはなかなか……と思ったのである。
レストランシェフとして腕をふるっていた佐々目宋28歳が勤め先をクビになって、当座の仕事先として選んだ臨時給食調理員として働く若竹小学校での奮闘の日々を描く。ホームドラマ風ではあるけれど、今の小学校のたいへんな状況が伝わってくる。いじめや不登校、育児放棄や父子家庭など、子どもをとりまく様々な問題がストレートに現れるのが小学校なのかもしれない。給食の現状も知らなかったことばかりだ。アレルギー食にいたっては、こんなに神経を使って提供されているのかと驚いてしまう。
小学校の教員を目指していたり、管理栄養士として給食に興味をもっている生徒には、やりがいがあるぞー!!と伝えてくれる本なのだろう。単純に給食を懐かしみ、こんな風に懸命に作られていたのかと思いをはせただけかもしれないが……。この本を選んだ図書委員はその後、課題研究で全国のご当地給食を調べていたから、彼女の給食ブームはまだ続いていたらしい。
<柴田 喜美子>