ひとこまコラム バックナンバー
ツンデレ男子にご注意を!? 2015/10/27更新 【チームやまゆり #40】
『高慢と偏見 上、下』(光文社古典新訳文庫) オースティン【著】 小尾 芙佐【訳】 光文社 (2011/11発売) |
「先生、この本読んだことある!?これ、少女マンガの王道ストーリーだから!元祖ラブコメだから!!」と興奮気味にお薦めしてくれた生徒がいる。彼女は本の虫で、毎日何冊もの本を借りては返す、たいへん熱心な読書家である。朝貸した本が放課後には返ってくることもあり、「ん?明らかに○○中に読んでいるよね?」と疑う気持ちを、「いやいや、速読が得意な子なのだよ」と言い聞かせる日々。それはさておき、多様なジャンルを読み込んでいる彼女がお薦めしてくれる本なのだから、面白くないわけがない。(あれ、立場が逆転している?)恥ずかしながらこの人気作品を読んだことがなかった私は、早速読み始めたのである。結果は……「ダーシーかっこいい!」「でしょ!?」
イングランドの田舎町で出会ったダーシーとエリザベス。家柄の違いのせいなのか、高慢な態度をとるダーシーをエリザベスは快く思わない。しかし、それがダーシーに対する偏見であったと気付いた時、エリザベスは己の虚栄心を恥じ入ることになる。はてさて、高慢と偏見の二人の恋の行方は……?
タイトルだけ見れば、何だか難しそうで、まさかこのようなラブコメだとは思わないであろう。もちろんラブコメ要素だけではなく、当時の階級制度や相続制度、人間模様を窺い知ることができ、歴史的背景を知る意味でも興味深い。古典作品を読まず嫌いでいる生徒さんには、始めの第一歩としてもお薦めの一冊である。
<橋 美幡>