ひとこまコラム バックナンバー
みて感じる「古事記」の世界 2015/12/24更新 【チームひつじさん #42】
『ぼおるぺん古事記 1〜3』 こうの史代【著】 平凡社 (2012/5〜) |
この本はそのタイトル通り、著者のこうの史代さんが、ボールペンで古事記の世界を描いたマンガです。ある日、貸出カウンターで納入された図書の受け入れ作業をしていたら生徒に「その本見せてください」と声をかけられました。その生徒はパラパラと見て、「この本、読んでみたいです」と言って、貸出準備が整ったあと借りていきました。本が返却された時に感想を聞いてみたら、「なんかよかったです」とのこと。
そこで、わたしも本を開いてみました。びっくりしました。地の文もセリフも読み下し文で書かれていたからです。でもご安心ください。文章と脚注を頼りに、細部まで描き込まれていて情報量の多い絵を見れば、それがどんな場面であるかがわかりますし、登場人物の豊かな表情を見ていると、感情の流れがわかります。
わたしが最初におもしろいと思ったのは冒頭の「天地創生」の部分です。他の本で読んでいると単調に感じる部分ですが、このマンガを読んでいると、具体的にこの世界が造られていくのがイメージできて「絵の力ってすごい」と思いました。また登場する神様が、それぞれ個性的で親しみやすく感情移入して読めるのもこの本の魅力のひとつです。古事記の物語が簡単に読めるという本ではありませんが、じっくりと古事記の世界に浸れる本だと思います。
<松島 泰子>