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朗読に誘(いざなわ)れて  2016/02/26更新  【チームひつじさん #44】

『夜市』 (角川ホラー文庫) 『夜市』 (角川ホラー文庫)
恒川光太郎【著】
株式会社KADOKAWA
(2008/05発売)

 ―今宵は夜市が開かれる。夕闇の迫る空にそう告げたのは、学校蝙蝠だった。―
 過去に夜市で買い物をした裕司は、あるものを取り戻すため、友だちのいずみと夜市へ向かいます。そこである老紳士に出会い……。
 以前勤務していた学校で行っていた読書会では、毎回、声出しの意味も含めてひとつの小説を参加者全員で「。(マル)読み」していました。(。まで読んだら次の人へ交代)
 準備期間中「全部読んだらどのくらいの時間か?」時間を計るため、進行係の生徒が試しに声を出して読み始めた時のこと。彼女の声と読み進めるテンポがなんとも心地よく、気がつけばその場にいた皆がすっかり聴き入っていたのです。不思議なことに、自分自身近づきがたかったホラー小説のはずが、彼女の「朗読」が終わる頃には何ともいえない余韻に浸っていました。
 読書会当日は、進行上「2人が老紳士に出会う前まで」を皆でマル読み。終了後は「続きが気になる!」と期待通りの反応から貸出も長く続き、作者の他の作品にも興味を持ってもらえたなど、読書会で盛り上がった本の1冊です。

<根本 千賀子>
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