ひとこまコラム バックナンバー

あなたも「児童書のソムリエ」御子柴に癒されてみる?
                        2016/02/26更新  【チームつながる輪〜 #44】

 『図書館の主』 (芳文社コミックス) 『図書館の主』 (芳文社コミックス)
篠原ウミハル【著】
芳文社
(2011/08〜出版)
*2016年2月現在の最新刊は12巻(2016/2刊)

 「ねぇ、コレ、ちょっと読んでみない?」と小さい声でカウンターに来た生徒に声をかける。取り置き棚の中から探し出したかのように一冊、本をカウンターに置く。「○○君なら、と思って……。誰にでも声をかけて薦める本ではないんだけど……。」 この作品を十分に楽しんでくれそうな子であり、これからの読書にプラスが期待できると私が脳内マーケティングした生徒たちには「特別なあなたに」的な"演技"を加味することもある。
 コレは私立の児童図書館に勤めるキノコと呼ばれる男性司書を主人公にして、児童文学の名作がテーマになっているマンガだ。(いかにも図書館関係者が好む内容である。)そしてこの本はある意味「ミステリー」である。第一に「なぜ、彼はキノコと呼ばれ、これまでにどんな人生を歩んでこうなってしまったのか?」第二に「なぜ、児童文学なのに子どもだけのものではないのか?」。「図書館に集う人たちの生活には何があるのか?」等々、謎はつきない。
 返却に来た生徒は必ず続きを借りていってくれる。さらに取り上げられた本はないかと尋ねてくれる。「なぜ、『図書館の主』を読むとテーマになった本が読みたくなってしまうのか?」。私が多く語るのはやめて、キノコに直接聞いてほしい。彼の放つ名言の数々、図書館をとりまく社会状況の話、「なぜ、作者の篠原さんはこんなに図書館のことをいろいろ知っているのか?」そして私の最大の謎は「なぜ、ひとこまコラムにこれまで登場しなかったのか?」。

<平塚 博美>
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