ひとこまコラム バックナンバー
初心者でも安心!そのハードル下げられます。
2016/02/26更新
【チームやまゆり #44】
『古今和歌集 ビギナーズ・クラシックス日本の古典』(角川ソフィア文庫) 中島輝賢【編】 角川学芸出版 (2007/04発売) |
こちらの本は「ビギナーズ・クラシックス」というシリーズの中で「古今和歌集」を取り上げたものです。掲載は七十首と一部ではありますが、古典文学を丁寧に解説してくれる本となっています。内容は、歌の原文と歌番号ごとに現代語訳と解説が載っています。解説については単語や地名の説明から、和歌でよく用いられる掛詞についてまで初心者でもわかりやすい内容となっています。季語や掛詞、古い地名が現在ではどこにあたるのかなどの解説があるので、古典が得意でなくても歌の状況などが想像でき、入門書として使いやすくなっています。
普段は図書館ではあまり見かけない生徒が、古今和歌集を探しにカウンターに来たときに紹介した本です。常連の生徒なら好んで古典を読む子がいますが、そうでない場合は授業や課題で必要になったから、という場合が多いです。本人に聞いてみれば、やはり課題で出たとのこと。「古今和歌集を読んで、それをテーマにレポートを書けって」と説明してくれる生徒は、古文があまり好きではないとのこと。全集が置いてある場所に案内すると、中身を確認して現代語訳はあるかと聞いてくるので、書いてある場所を教えました。訳だけ確認すると「これでいいや」と彼は早々に本を閉じました。
これまであまり好きではない教科に取り組む生徒が課題でレポートなどを書くとき、だいたい本やネットを丸写ししている場面に遭遇しました。せっかく興味がなかったジャンルの本に触れる機会、もう少し中身がわかるとまた違ってくるんじゃないかと思い、一緒に勧めたのがこの本です。古典文学を最初から読もうとすると、どうしても聞きなれない古語でハードルが上がってしまいますが、訳や解説付きで読んでみたら意外にすんなりと受け入れられたりします。この本を渡したとき、男子生徒は何に使うのか、と質問してきました。これがあると訳しやすくなることなど活用の仕方を話すと、納得して一緒に貸出をしていきました。
あまり本に触れる機会がない生徒にも、本を活用する面白さや読む楽しみを知ってもらえたら、と日々考えています。