ひとこまコラム バックナンバー

時には豪華な本でくつろいで  2016/03/18更新  【チームつながる輪〜 #45】

『Hamlet』『The Complete Alice: Alice's Adventures in Wonderland 
and through the Looking-glass and What Alice Found There』

『Hamlet』
Shakespeare, William Dolven,Jeff Stanton,Kevin
New York : Sterling Signature c2012
『The Complete Alice: Alice's Adventures in Wonderland and through the Looking-glass and What Alice Found There』
Carroll,Lewis Tenniel,Sir John Theaker,Harry Wallis,Diz
London : Pan Macmillan 2015

 本校では若干ながら外国語図書も選定、所蔵しております。最近受け入れた、『ハムレット』、『アリス完全版』(不思議の国のアリス・鏡の国のアリス)、多くの方がご存知のこの作品、関係する本は数多く出版されており、内容に関しては特に説明するまでもないでしょう。共にハードカバーのしっかりした形態で、凝った装丁やイラストが注目される本です。
 ハムレットで先ず目を惹かれるのは表紙、2色の切り絵がその中央に貼り絵状にはめ込まれています。本文中にも同じ2色の切り絵が所々に挿入されています。色を言葉でお伝えするのは難しいのですが、臙脂(えんじ)色あるいは海老色と群青色の2色、なかなか深みのある色あいです。切り抜き図柄は2色でそれぞれ異なり下側の群青色部分だけを見ると、単なる切り絵ですが、上側の臙脂色を重ね合わせて見ると、例えば父の亡霊が浮かび上ってくる仕掛けです。切り絵は幾つか挿入されており、色の上下のパターンは一定ではありません。
 一方の不思議の国のアリス、こちらもなかなか凝った製本で、表紙をくり抜く丸い穴(見返しにも)、天金。天金は天だけでなく、地と小口(前小口)にも色染めをほどこしてあり、いわゆる三方金としてあります。天金の本は偶に見かけますが、地や小口までは珍しくしかも金色ではなく色染めまで施してある本は高校図書館では、そうそう見られるものではありません。この色染めは赤金あるいはメタリックカラーの濃いピンク色とでもいうべき色で、遭遇する機会の少ない色あいです。また、表紙と見返しの穴も、物語の内容からすれば自ずと頷けようものです。
 気楽により多くの本を読んでもらいたいものと、常々考えていますが、この2冊は何れも厚さ5センチ弱と"Gパンの尻のポケットに突っ込んでおき、芝生に寝転がって読む"にはあまりにも大きく机でじっくりと読んで欲しい1冊です。ファンには垂涎の愛蔵版たる1冊といえましょう。
 本校では、英米文学講読という科目も設定されており、そこでの活用も期待しています。シェイクスピアの手になる台詞を英語で堪能してもらいたいものです。また偶然にも、アリスの方は、マクミラン・アリスと思しき絵皿が図書館の展示ケースに並べてあります。
最近の生徒は多忙なようで、本についてはもとより雑談をする機会も少なくなりつつありますが、折に触れ本について生徒に語りかけると身を乗り出してくることもあり、とりわけ外国語の本でも気軽に手にとってもらえるのは本校ならではかも知れません。 

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