ひとこまコラム バックナンバー

紳士淑女の皆様へ  2016/04/27更新  【チームひつじさん #46】

『お嬢さまことば速修講座 新装版』 『お嬢さまことば速修講座 新装版』
加藤ゑみ子【著】
ディスカヴァー・トゥエンティワン
(2000/12/25発売)

 わが校ではかわいいもの、美しいものが大好きな生徒が多いようです。ディズニーもジブリもたいへん人気があります。図書館に置かれたプーさんのぬいぐるみを抱えて勉強する男子生徒もいました。
私:「癒される?」
男子:「うん!!」
 そんな中、これもまた男子生徒が2人連れで新着案内を手に図書館へ来ました。
男子A:「あっ、あった!」
男子B:「やったね、これでオレも"お嬢さま"になれるかな!(笑)」
……なりたいの?そんな(?)は顔には出さず、にこやかに貸し出します。今度の文化祭では「メイド喫茶」ならぬ「お嬢様喫茶」でも出すのでしょうか? それとも「お嬢様漫才」?そんな芸人さんがいましたよね。
 この本は初版からすでに3代目だそうです。2000年に発行された新装版が2011年に第19版というのだからかなりのヒット作品です。私はちっとも知らず、教えてくれたのは家庭科の先生でした。電車の中で真剣に読んでいる妙齢の女性がいたそうで、あまりの真剣さにそっとタイトルを見たそうです。自分もぜひ読んでみたいとリクエストしてくれました。
 先生はこの本を読んで、日本語の面白さ、奥深さを感じてほしいと思ったそうです。ただ生徒たちは言葉遊びの一種のように楽しんでいるようですが……。「だめ」と言わずに「よろしくない」と言ってみる。「ちょっと」と言わずに「少々」と言ってみる。微妙なニュアンスを知ることはお嬢様に限らず紳士にもあてはまりそうです。
 「相手を尊重したことばづかいは、相手を尊重した行為となります。」(あとがきより)
 卒業生への寄せ書きに「素敵なlady(gentleman)になってください」と書きました。紳士淑女への道はまずはことばづかいから。ついつい自分のことでいっぱいになってしまう日々。相手を思いやる"お嬢さま"に私もなれるでしょうか。笑って読みながら、思わず背筋を伸ばす一冊です。

<佐々木 恵理>
バックナンバーに戻る