ひとこまコラム バックナンバー
流とこいしとひるね 2016/06/03更新 【チームひつじさん #47】
『鴨川食堂』 柏井壽【著】 小学館 (2013/11発売) |
NHKでドラマ化された原作本。元刑事で板前の"流"と探偵の娘"こいし"が営む鴨川食堂。プラス、トラ猫の"ひるね"(玄関先でいつも寝ているまるで番犬ならぬ番猫、ただし用心にはならない。)
雑誌「料理春秋」の中の<鴨川食堂・鴨川探偵事務所"思い出の味"探します。>という広告を見て依頼者はやってくる。そこでは依頼者にとって忘れられない、しかし二度と味わうことのできない一皿、そんな記憶の味を再現してくれるという。
まずは客の好みを聞き季節のおまかせ料理を用意、食事が終わったところで娘こいしの出番。思い出の食に関する聞き取りを行うのだ。そこに登場する料理とは、カレーライスであったり焼きそばであったり実に庶民的な料理なのである。
依頼人のふと口にした「一流の腕をお持ちなのに、ラーメンのようなB級料理もつくられるんですね。」に対し、流は「料理にA級もB級もないと思うてます。料理を作る側の心と食べる気持ちが合うたら、それでええんです。」と切りかえす。
この作品はあと二冊出版されており、一巻につき6種類の「食」が紹介されていて只今18食目であり、続編が楽しみな作品である。
<岩ア 千惠子>