ひとこまコラム バックナンバー
時には頁から遠ざかろう 2016/07/25更新 【チームつながる輪〜 #49】
『どっとこどうぶつえん』 (こどものとも絵本) 中村至男【作】 福音館書店 (2014/05発売) |
図書館でのひとこまがのぞけるようなとのことで昨年度購入した中からこちらの『どっとこどうぶつえん』をご紹介します。
「どっと」とはドットコム(.com)とかのあの「どっと(.)」です。つまりは点です。そしてそのどっとだけで表された動物たちが楽しめるのがこの『どっとこどうぶつえん』という絵本です。
絵本とはいっても物語はなく、どっとで表現された動物たちの絵を眺めるだけの本なのですが、初見の方はまず間違いなく目がどっと、ではなく点になります。
なぜなら、よくぞここまでと思うほどに簡略化された絵ばかりだからです。表紙の動物はとてもわかりやすいほうで、シマウマやウサギ、パンダやラクダなどは人によってはすぐにはわかりません。しかしこの「人によってはすぐにはわからない」という点がポイント。見せた生徒によって何の動物か分かるタイミングが違うので、特に数人のグループに見せると盛り上がるのです。
どうしてもわからない生徒にはこうアドバイス。
「少し頁から遠ざかって、視点を変えてごらん?」と。
そして、
「あぁ、これアレだ!」
と気付いてもらえたときは我知らずニンマリと。
本は読むだけと思って敬遠している生徒が、「こんな本もあるんだ」と本に対するハードルが下がる瞬間は嬉しくなりますね。
視野の狭い生徒が最近多いので、少し遠ざかって俯瞰する大切さを知ってもらえるとよいのですが。
<朔風>