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甲子園の輝く星 2016/08/25更新 【チームひつじさん #50】
『輝け甲子園の星』 雑誌 日刊スポーツ出版社 (隔月刊) |
「おはよう!今日の新聞あるー?」今時の高校生にしては珍しく(?)神奈川新聞を求めて毎朝やってくる生徒がいた。お目当ては高校野球選手権の記事で、隈なく目を通す。そして彼女の愛読書は球児や大会の情報が満載の雑誌『輝け甲子園の星』で、最新号が届くとたいへん。握り締めて独り言や悲鳴が止まらないのだ。
2年生の夏に高校野球に魅了された彼女は、3年生で本校の野球応援の団長になった。吹奏楽部の部員も有志応援団員も残念ながら少ない中、本番に備え日夜そのアツい活動に真剣に打ち込んでいた。
その甲斐もあっただろう、本校野球部は予選3回戦まで勝ち進むことができた。普段は平日に行われて観ることのできない試合も休日にあたり、しかもテレビ中継も入る会場だったため、私も自宅でじっくり観戦することができた。
惜しくも負けてしまった後も、彼女はよく図書館に足を運んだ。私は神奈川新聞に掲載されたトーナメント表を図書館の廊下に掲示し、彼女と語りながら勝った高校の線を赤ペンでなぞり「優勝」の文字へ進めていった。
そんな彼女の夏休みは当然忙しく、図書館に足を運ぶ数は少なくなり顔を見る機会も減ってしまったが、テレビの画面に大きく映し出されたあの真っ黒に日に焼けて凛々しく校旗を掲げる姿は今も尚私の胸に焼き付いている。
<坂本>