ひとこまコラム バックナンバー
思いがけない手紙 2016/11/25更新 【チームひつじさん #53】
『フェリックスの手紙』 ランゲン,アネッテ【話】 ドロープ,コンスタンツァ【絵】 栗栖 カイ【訳】 ブロンズ新社 (1994/09発売) |
図書館に来る生徒が、みな本好きとは限らない。
ふらり立ち寄るだけの生徒も多い中、読みたい本に出会えるまでとことん粘るツワ者もいるのですが……いくら紹介しても彼女はことごとくはね返す。字が小さいからダメ、厚い本は即却下。1ページも読まないうちからつまんな〜い、あげくの果てに「こんなにたくさん本があるのに、私の読みたい本がない!」なんて言われたら、こちらも引き下がる訳にはいかない。絵本なら脈がある。こうなったら奥の手だ、"私の本棚"にすがろう。
『フェリックスの手紙―小さなウサギの世界旅行』は、世界一周の旅に出た友人からのプレゼント。
夏休みの旅行中、ソフィーの大切な相棒ウサギのぬいぐるみフェリックスが、行方不明になってしまいます。しょんぼりするソフィーの元へ、新学期のある日外国からお手紙が……差出人はウサギのフェリックス!世界のあっちこっちから、ワクワクするお話でいっぱいの、フェリックスの手紙が届きます。実際に封筒を開け、手にして読めるので旅の情景が目に浮かぶ、この本を紹介するとしよう。
いつになく静かな彼女。本に飽きて眠ってしまったか……と思いきや「フェリックスに返事を書いたよ!」ときた。そのひらめき、手紙に私はKO!!
という訳で、私の本には、フェリックスと彼女の書いたソフィーからの手紙が、仲良く封筒におさまっている。
<大塚 桃子>