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書架に散らばるしかけ 2017/01/25更新 【チームやまゆり #55】
『沈黙』 (遠藤周作文学館限定版) 遠藤 周作【著】 新潮社 (2016/08発売) |
学校に講演や出張授業等でいらした方に、著作があればなるべくサインをしていただいている。多分のミーハー心も含まれるが、手書きの文字が入ることで、書き手の体温が加わって、本に親しみが出てくるからである。実際にお話を聞いた方ならなおさら。生徒さんには生身の人間から本が生まれてくることを感じて欲しいと思う。そんな訳で、本校の書架には私的に購入したものも含め、サイン本がちらほらと混ざっている。
2016年は遠藤周作没後20年、『沈黙』刊行50年の年だった。長崎市にある遠藤周作文学館では、記念装丁本を発行された。見返しにサインと落款が印刷されているのが嬉しい。紺に近い青鈍色。舞台となった外海の海を思わせる写真が表紙だ。小島が浮かぶ夜の海上に満月がかかり、銀色の月影に照らされた海面がかすかに見える。作中で信者や司祭を呑みこんだ海、主人公の問いに沈黙する海。深く哀しい沈黙の世界が広がる。生徒さんには本の装丁も楽しんでほしい。そんな訳で、本校の書架には特徴ある装丁の本が散在している。
余談であるが、2017年1月21日から映画『沈黙―サイレンス―』が全国公開される。監督は『ディパーテッド』でのアカデミー賞監督賞を始め、数々の作品でノミネート・受賞歴のある、マーティン・スコセッシ。
<渡辺>