ひとこまコラム バックナンバー

私の大好きな本  2017/02/24更新  【チームつながる輪〜 #56】

『昨夜のカレー』

『昨夜のカレー、明日のパン』
木皿 泉【著】
河出書房新社
(2013/04発売)

 そもそもは彼らのエッセイ集『二度寝で番茶』(双葉社)を書店で見かけたのが始まりでした。本の帯に、"「すいか」を観て号泣。そんなあなたへ。"とあり、ドラマ「すいか」の作者ということで迷わず買って読みました。ドラマ「すいか」は、私の中ではベスト5に入るくらい面白いドラマでした。色々な悩みを抱えた人々が一緒に、まかない付き下宿に暮らす話で、主人公の小林聡美演じる基子が、「あたしみたいなもんも、いていいんですかね」と問うと、浅丘ルリ子演じる大学教授が、「いてよし」と答えるセリフが印象的でした。木皿泉はご夫婦の脚本家のペンネームで、「すいか」は向田邦子賞を受賞。そして、『二度寝で番茶』を読んでほどなく、木皿泉の初めての小説『昨夜のカレー、明日のパン』が発売されました。早速買って一気読みです。期待を裏切らない面白い本で、20代で夫を亡くした主人公の「テツコ」、夫の父「ギフ」、彼らを取り巻く人々の話で、心の中に灯りがともるような、心が温まる元気をもらえる小説でした。すぐに図書館でも購入し、以前の学校の離任式ではこの本を紹介しました。生徒が借りてくれたら嬉しかったのですが、仲よくしていた先生が一番に借りていったとのことでした。それもまたよし。本屋大賞2位、ドラマや漫画にもなりました。読もうかなと思ってくれたあなたへ、涙が止まらなくなります。電車の中ではなく、家で読んで下さいね。

<酒井 和子>
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