ひとこまコラム 最終ランナー
図書館と歩む人生 2017/07/03更新 Finish! 【チームやまゆり #60】
『ぼくは、図書館がすき 漆原宏写真集』 漆原 宏【著】 日本図書館協会 (2013/04発売) |
それは、ある国語科教師との会話から始まりました。
「その人の本棚は、その人を表しますよね」
私の言葉をきっかけに、「自分を表すのにぴったりな一冊を見つけ、他の人たちに紹介しよう」という授業をしてみることになりました。
サッカー選手の本を紹介する生徒、バスキアの画集を紹介する生徒、みんな楽しそうに発表をしていたので、私も参加させてもらうことにしました。そこで選んだ、とっておきの一冊がこの写真集です。
「私は今、学校司書という仕事をしています。でも実は、図書館との付き合いは生まれてからの長いものです。まず、小さい頃から週末になると、両親は私たち子どもを市立図書館に連れて行ってくれました」
写真集では、赤ちゃんをおんぶしたお母さん、弟を抱っこし、姉が背中にしがみついているお父さんがニコニコと本を選び、読んでいます。また、小学生たちが嬉しそうに本を抱えています。
「大学生になると、論文を書くために図書館で必死に調べ物をしました」「そして、今度は自分が図書館で働くようになりました」
本の中にも、調べている高校生たちや勉強する大学生たちがいます。また、そこで働く図書館職員たちのバックヤードもいろいろと載っています。
「いずれ私は退職します。でもきっと、図書館とのつながりはその後も続いていきます」
写真集には、図鑑を見ながら絵を描くお年寄り、図書館ボランティアに励む高齢者がいます。
ここには私の「これまで」と「これから」が詰まっている。見るたびに胸が熱くなる一冊です。同じ道を歩んでくれる生徒が、一人でも多くいますように。
<岩瀬 順子>