ひとこまコラムリターンズ 第25走者
本でリラックスの時間を
2020/09/28更新
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この4月、世の中が新型コロナ対策に追われる中、進学校といわれる高校に転勤しました。6月に学校が再開されて登校してきた高校生の緊張感は痛々しいほどでした。貸出のためにカウンターに来た生徒達は、注意書きも一切していないのに自主的にソーシャルディスタンスを保ってピシッと一直線に並ぶし、閉館時刻の5分前になると声掛けをしなくても荷物を片付け始めるし。まんがコーナーよりも「受験に役立つ資料」コーナーに人が集まります。
図書館はもっと気楽に使ってほしい、ほっとできる場にしたいという気持ちで接しましたが、生徒さんはコロナ対策と、勉強しなければという気持ちとでいっぱいのようです。
お勉強以外に目を向けてもいいよ、役に立つ本ばかり読まなくてもいいよ、ムダに見えても面白くって大事なこともあるよ。和んでほしいと新刊コーナーにお気楽本を並べても反応はイマイチでした。
そんな時「乙女の本棚シリーズ」の新刊に『山月記』を発見。既刊本もまだ入っていなかったので、シリーズをまとめて購入して表紙を見せて並べたら、明るい反応が続々とありました。「次の新刊も入れてくださいね」と、うれしいリクエストも来るようになりました。
お勉強と離れた本も楽しんでほしいという目的はまだ達成できていませんが、利用者の笑顔がとても嬉しいです。
<とのやま>