ひとこまコラムリターンズ 第52走者
夢のはなし
2023/01/17更新
『こころの「え?」ほん 夢はどうしてかなわないの?』 大野正人【著】、中川学【絵】 汐文社 (2015/9) |
学校司書として働き始めて、早くも8ヶ月が経とうとしている。目指していた仕事に就くことができて嬉しい反面、自分の至らなさに悔しくなることも多い。でもやっぱり本と生徒と関わっていくこの仕事はすごく楽しい。
図書館でのひとこまって意外と難しい……と思いつつ記憶を辿っていくと、そういえば、図書委員の生徒と「夢」について話したことがあったなと思い出した。
「なんで司書になったんですか?」
「色々理由はあるけど本が好きだし……夢だったからかな……」
「夢ですか?」
「〇〇くんはなにか夢とかあるの?」
「あるというかなんというか……今はまだ検討中ですかね……」
「そっか?」
何かもう少し気の利いたことが言えたのではと思いながらの帰り道、1冊の絵本が頭に浮かんだ。それは2年前、「司書になるのはやっぱり難しいのかも」と思ってしまった学生時代にたまたま出会い、勇気をもらった絵本だった。
タイトルに少しドキッとするこの絵本では、3人の子どもたちが自分の目指す夢へ向かうなかで、さまざまな壁を乗り越えて成長していく様が描かれている。
努力をすれば夢が叶うという保証はないかもしれない。でも、叶わなかったらそこで終わりなのかというと、実は意外とそうでもない。夢はいつでも未来にあるもの。そんなことを教えてくれる絵本だ。
いつかまた夢について話すことがあったら、この絵本と私らしい言葉で、勇気づけてあげたい。たくさんの本と色んな人たちに背中を押してもらった私が、今度は彼らを応援する番だ。
<spearmint>