ひとこまコラムリターンズ 第56走者

本ってありがたい   2023/05/22更新

『おかしなあみもの』


『おかしなあみもの』
 フィグインク【編】
 西東社
(2020/12)

 この本とは、ほかの司書の方におすすめの本として教えてもらったのをきっかけに出会いました。一風変わった編み物が並ぶ表紙に惹かれて実際に中を見てみると、タイトルの通り「おかしなあみもの」たちがたくさん並んでいて、"ブックマッチ"や"T字カミソリ"、"電池と豆電球"といった身近な雑貨から、"長ねぎ"や"ずわいがに"などの食品まで、様々なものが編み物で細かく表現されていました。これは面白い!と思い、さっそく自校でも購入しました。
 それから時は過ぎて秋の季節になり、図書委員の生徒に「秋」をテーマとしたPOPの作成をお願いした際に、「秋と言えば芸術だ!」と言って生徒が本棚からこの本を見つけてきました。確かにテーマにぴったりだと思いながら、その生徒と「どの編み物が好き?」なんて会話が弾みました。
 そんな経緯でしばらく特設コーナーに展示してあったのを、「これ面白いですね!」と今度は先生が見つけ、「実際には編み物は苦手だし自分で作れるわけではないけど、眺めているだけで楽しいし癒されますね」とまたまた会話が弾みました。
 こんな風に実際に体験しなくても少しの満足感を得られる、経験した気分になれるというのが本のいいところだなと感じました。また普段人と会話することが少し苦手な私にとっては、こうして些細な会話のきっかけになってくれることがありがたいなぁと思い、あらためて本という存在のありがたさを実感させてくれた一冊です。

<ながの>

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