ひとこまコラムリターンズ 第57走者
おすすめバトン
2023/06/23更新
『図書館の魔女 第一巻』 高田大介【著】 講談社(講談社文庫) (2016/4) |
前任校で、図書委員のMくんに「面白いから司書さんも読んでください!」と言われた本。ノベルズサイズの分厚い上下巻だし、内容がつかめない表紙だし、その割に「ラノベ系?」と感じてしまった内容紹介。当時は余裕がなかったこともあり、結局読まないまま過ごしてしまった。それが、現任校の図書館にも同じ本(こちらは分厚い文庫本全4巻)を見つけ、手に取り読み始めてみたら、途中からはあっという間。読み終えたあとには、「Mくん!すっごく面白かった!おすすめしてくれてありがとう!あの時、この感動を分かち合えなくてごめん!!」と、心の中で叫んでいた。
キャラクター、ストーリー展開、言葉の使い方など、面白さポイントはいろいろあるのだが、地の文がびっしりなのと、難しい漢字や普段使わない言い回しなどもたくさん出てくるので、読む人を選ぶ。正直、高校生にはおすすめしにくい。けれど、図書館とは?言葉とは?情報を読み解くとは?面白いだけじゃなく、いろいろ考えさせられる。数日そんな感想に浸っていたら、元図書委員のIくんが、進学する大学からの課題図書をさがしに来た。
「このリストの本、ありますか?」
「……え?図書館学やるの?」
「はい」
これは!と思い、リストの本のいくつかを貸し出した後で、ここぞとばかりに『図書館の魔女』をおすすめしてみた。いつか、思い出して手に取って、そして「司書さん!この本、面白かった!」と、思ってくれたらいいな。
<からすみ>