ひとこまコラムリターンズ 第82走者
リア充爆発しろ! 2025/08/05更新
『ファシズムの教室』 田野大輔【著】 朝日新聞出版 (2025.04) |
3時間目が始まり、早めのお昼ご飯を食べていると常連の先生がふらりとやってきた。かじりかけのおにぎりを作業台に置いて、カウンターに出る。
「この本、面白かったーって言うか、怖いよね」
「これだけ簡単に、人の心って書き換えられちゃうんだって思いますよね」
「そうそう。しかも身近で実際に起きているような気もするし、ネットで激しいコメントする人たちも、こういう感じでそうなっていくのかぁ、って思った」
もともと、返却時に本の感想を話してくれる先生だったが、今日はいつもより饒舌にしゃべってくれる。こちらも読んでおいてよかった。
「これは大学の授業でやった記録だけど、日本の学校って無意識に同じようなことをしてるよね」
「運動会の行進とか、卒業式の呼びかけとかもそうかもしれないですね」」
「応援練習とかもね。日本人って、歴史的にそういうのに染まりやすいのかしらって考えさせられちゃった」」
「ああ、そうかもしれないですね」
「生徒たちにも読ませたいけど、なかなか読まないのかなぁ?」」
「こういった本に自分から手を伸ばす生徒は少ないですね。先生が同じような授業をやって、読むように仕向けたらどうですか」」
「生徒たちに『ハイル、○○!』って叫ばせてね」」
「で、図書室でイチャイチャしてるカップルに『リア充爆発しろ!』って叫んでまわるんです。その時は私も加わりますよ」」
「それは……自分がやりたいだけなんじゃないのー?」」
なぜばれた?
<あんころ亭きなこ>