ひとこまコラムリターンズ 第85走者
思い出に残る誕生日 2025/11/04更新
『もじ鉄 書体で読み解く日本全国全鉄道の駅名標』 石川祐基【著】 三才ブックス (2018.01) |
学校司書になりたての4月の半ば、ある一人の生徒が何冊か本を抱えて席に着きじっくりと読書をしていました。何を読んでいるのか気になりその生徒の様子を窺うと表紙に京急の駅標の写真がチラリ。京急ヘビーユーザーの私は思わずテンションが上がり「電車が好きなの?」と声をかけていました。その生徒は嬉しそうに「はい、好きです!」と答えてくれました。よく利用している生徒なのかと思ったらまさかの1年生。まだ高校生活数日で図書館を使いこなしている姿にびっくりしたのと同時に図書館の常連さんになってくれないかな〜と期待の気持ちが湧いてきました。その生徒は席で読んでいた本を借りて帰りました。ちょうどその日は私の誕生日で少しのやりとりでしたが生徒と話ができたこと、読むのが楽しみと嬉しそうに本をカバンの中にしまっている姿を見ることができ、私にとって最高の誕生日プレゼントになりました。
それからもその生徒は定期的に図書館に来て私がおすすめした本を借りてくれたり、読んだ本の感想を話してくれたりと楽しいひと時を過ごしています。学校図書館は本を借りる場所、読む場所だけでなく様々な活用方法がありますが、本と人を結ぶ場、本を介して人と人をつなぐ場であることを忘れずにいたいと思いました。この生徒が卒業するまでにどんな本と出会い、どんな感想を話してくれるのかが私の学校司書としての楽しみの一つになっています。
<むらなつ>