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更新日:2023年4月18日

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令和5年度 第78回入学式 校長式辞

未来に近づくために今を大切に!

【はじめに】

春になることを待ちきれずに、早くから暖かな日々が続いた今年。長かったコロナ対応からの新たなスタートを喜ぶかのように咲きほこった校内の桜たちが、花びらを舞わせて皆さんを祝福しています。

神奈川県立厚木東高等学校への入学、おめでとう!

保護者の皆様におかれましては、お子様が義務教育課程を修められ無事、今日の日をお迎えになられたこと、高い所からではございますが、心よりお喜び申し上げます。

【厚木東高等学校の新入生として】

ただいま、5クラス、198名の入学を許可いたしました。

皆さんは、創立118年の歴史を刻んできた本校の、厚木東高等学校としての第78期入学生です。

明治39年に愛甲群立女子実業補習学校として開校して以来、時代の変化に対応し、校名、形、場所も変えながら、明治・大正・昭和・平成・令和と歴史を刻み、県立高校屈指の広大な敷地と、自然豊かな環境の中で、穏やかで落ち着いた校風を積み上げてきました。

関東大震災や太平洋戦争等、そしてコロナ禍と、幾多の苦難を乗り越えて、現在に至るまで「学びの継続」がなされているところです。

今年の入学式は、保護者の方々のご参列も再開し、また4年ぶりに吹奏楽部による演奏が復活できました。ようやく「本来の厚木東高校の姿」に戻せそうだ。そして、この3年間で身に付けたICTの活用等による学びをミックスした、そんな充実感のある活動が展開できるのではないか、と期待している。そんな中、皆さんを迎えました。

入学式 黒板アート

【新校に向けて】

来年度に厚木商業高等学校との統合を控えている本校にとって、皆さんは、「最後の厚木東高等学校入学生」となります。来年度の入学生は「新校の3期生」となるのですが、皆さんは「新校の第2期卒業生」にもなるという、長い歴史の中でも、極めてまれな経験をする世代でもあります。

まず、最初の1年間は、統合の為の準備の中にあります。

新校名は今年度の早い時期に発表になるかと思います。また、校門を入って左では新校舎の建設工事が着々と進んでいます。新校開校に合わせての旧校舎の一部改善の工事も、今年度行われます。

そんな、未来への変化の中にある本校を志願し、合格を勝ち取り、入学してくれた皆さん、本当にありがとう。

皆さんは受検の時に、工事現場の看板に『合格祈願 工事関係者一同』と、貼ってあったことに気付きましたか?教職員はもちろん、この厚木東高校で働くすべての人々が、皆さんの今の学びと、その先の進路選択が確かなものとなるよう、それぞれの立場で、愛をこめて全力で取り組んでいます。そんな「温かい雰囲気をもった」厚木東高校での今日からの生活、安心して過ごしてください。

【「将来への希望」とはどんな存在か?】

ここで、これからの高校生活に向けて、一つヒントとなる話をいたします。

皆さんには、いま「将来への希望」はありますか?

心の奥底にある「こうありたい・こうなったらいいな」と思い願う気持ち。入試等の面接でも定番の質問です。「希望を持つこと」について調べると、大体は肯定的な、前向きな言葉ばかりが出てきます。

そんな中で、皆さんが生まれたころに、原作本・映画とも、全世界で爆発的にヒットした『ハリーポッター』シリーズの映画第1作の中に、こんなシーンがあります。

・主人公は、ある時、城の中のある部屋で不思議な鏡を見つけます。

・「みぞの鏡」と呼ばれるその鏡を見ると、幼いころ死に別れた両親が自分と一緒に映っているではないですか。

・そこで、友人を連れて自分の両親を見せようとするのですが、友人には自身がスポーツで活躍し、みんなから称賛されている姿が見えていると言うのです。

・不思議に思った主人公は、校長に相談します。すると校長は
「この鏡によって身を滅ぼしたものは多い」
 「この鏡は見る者の心の奥底の願望を映し出すもの。だけど現実も知識も与えてくれない」

と答えます。

このシーン。「希望や夢」といった言葉の持つ前向きなイメージとは少し違った感じを持ちませんか?

私なりの解釈をしてみます。これは決して「希望を持つこと」そのものを否定しているわけではない。しかし、それだけで満足してしまい、いつまでも具体の行動に移すことなく、終わってしまうことが、私たちには結構多いのではないか?

そして「やることはわかっているけど先送り」してしまうことや、希望と現状とのギャップに負けて「どうせ無理!」って諦めてしまうこと。さらに、結果として「届くイメージが付きやすい希望」に変更してしまう、なんてことも多いのではないでしょうか。

2020年にリリースされた『怪獣の花唄』という楽曲にも、こんな歌詞があります。

落ちてく過去は鮮明で
見せたい未来は繊細で
すぎてく日々には鈍感な君へ

実際の行動を伴うことができないことへの、何とも言えない感情があらわされています。

【「将来」ために大切にしたい「今」】

さて、ではどうすればいいか。答えは単純です。

「まず、始めよう」ということ。

遠い目標も「まだ始めていないのだから、遠いに決まっている」し、「先行している人たちが優れているのも当たり前」ですよね。だからと言って、そこで諦めるのって、とってももったいないことです。

また、夢や希望はあるけど、それを思い描くだけで終わるのではなく、少しずつでも具体的な行動を起こし始めれば、少しずつ近づいていくものです。勉強でも部活動などでも、何でもです。

「未来に確実に近づく」ために、「今」を大切にすることが、結果として、今は遠くにあって届きそうもないと思える「希望」をかなえる、唯一の手段だともいえるのではないでしょうか?

【まとめ…厚木東高等学校での生活について】

「挑戦(チャレンジ)」は長年掲げてきた厚木東高校のスピリットです。皆さんはそんな厚木東高校最後の入学生として、この思いを胸に、それぞれが、今日から何かしらの「希望への歩み」を始めてください。

そんな、前向きな、熱い思いが集合したパワーが、78期生の原動力となり、198人みんなの高校生活の充実と、それぞれが思い描いた「希望」へと届いていくことを祈念して、そしてそれを厚木東高校の私達全員が、全力でサポートすることを誓って、私の言葉といたします。

頑張りましょう。

令和5年4月7日

神奈川県立厚木東高等学校 校長 梅澤 広昭