横浜ひなたやま支援学校 > 地域の方へ > その他お知らせ > 令和7年度夏季公開講座報告~地域防災~
更新日:2025年9月25日
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| 8月22日(金曜日)に東北福祉大学准教授の水本匡起先生をお招きし、「身近な地形からみた地域防災の新しいかたち~3D立体画像で愉しむ瀬谷の地形~」というテーマで、夏季公開講座を開催しました。この講座は、ひなた山地区自治会連絡協議会、横浜ひなたやま支援学校サポート会、横浜ひなたやま支援学校地域防災拠点、瀬谷さくら小学校学校運営協議会の4団体による共催という新しい試みで行われました。 | ![]() |
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当日は、近隣自治会のみなさまをはじめとし、100名を超える方に参加いただきました。講座では、古いものでは1947年の空中写真から周辺地域の地形を読み解きました。自分の住んでいるところが台地なのか低地や谷なのか、地形の写真を見ながら確かめることができ、とても興味深かったです。 |
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また、事前調査を行い作成された多くの貴重な資料には、この地域のためにという水本先生の気持ちがこもっていて、大変ありがたかったです。 ここでは、参加されたみなさまからのたくさんの感想の一部とともに、アンケートにあった質問への回答を掲載させていただきます。 |
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<感想>
‣身近な地域の今昔を元にした話だったので、とても面白かった。
‣地形を知ることが、災害時の対応で参考になることが分かった。
‣下原公園下側の道に水が溜まりやすいことは経験的に知っていましたので、今日の話を興味深くうかがいました。
‣3D画像で地形を把握できました。高低差があるところを目視してみたいです。ハザードマップに関心が持てました。熱血講義ありがとうございました。
‣「地形ができる自然災害(洪水)を、人の目、地球の目で見る」は、はっとさせられました。地形から考える、地形が教えてくれるとは、考えたことがなかったです。見方を変える力をつけたいです。
‣移り住むのに水害にあわない場所としてこの土地を選びましたが、現在の川しか見ていませんでした。これからは、旧河道を見つけるようにしたいので、まずは、河道跡をたどってみたいです。
‣我々の建物の前面道路が「水路」であったことにとても納得しました。なぜなら、雨が降ると越水気味になるからです。過去の水脈を知ることや断層を知ることは「防災」につながるということが良く理解できました。
‣これまで「坂道」としてしか見ていなかった地形が「谷」であり、「昔は川が流れていた所かも」といった視点で見ることで、水が溜まりやすい地域という今までとは違う捉えができるようになったと思います。
ハザードマップに色が塗られている理由が分かりました。自分の住んでいる地区では、ハザードマップだと危険区域のエリア外になっていますが、水害リスクの可能性があることが分かりました。
たくさんの感想をありがとうございました。
ここに掲載したものは、ほんの一部です。
水本先生には全ての感想をお渡ししています。
<質問&回答>水本先生からいただいた回答です。
Q1)3Dで古い地図の方が高低差が大きく見える図が多かった気がします。3D化において何か影響することがあるのでしょうか。【自治会関係者】
➡古い空中写真の方が、建物が建っておらず、人工的な地形改変もないために、地形(ガケ、高低差)が見えやすいのだと思います。また、空中写真によって鮮明なものとそうでないものの違いもあります。ちなみに、空中写真の3D化は、以下のステレオフォトメーカーというソフトが便利です(https://stereo.jpn.org/jpn/stphmkr/index.html)。
Q2)地形または地盤と地震の話を聞きたかったです。地震に強い地盤とは何か、揺れ(震度)が少なくなるのか、その定量的な関係はどうなのか。【自治会関係者】
➡一般的に、台地は地盤が強く、低地は弱いです。講演でお話しさせていただいたように、瀬谷区は相模川が約10万年前に形成した台地がほとんどを占めているため、概して地盤が良い土地と言えると思います。ただし、台地を刻む谷底の土地には、泥や粘土が堆積していることが多いことから、その分、揺れには弱くなります。例えば、境川や相沢川、和泉川沿いの低地は、横浜ひなたやま支援学校が位置する台地の上に比べると、弱い土地になるかと思います。また、斜面や盛土の土地は、言わずもがな、弱い土地になります。ご自身の家がどのような地形の上に建っているかによって、土地の強さが大きく異なりますので、今回お話させていただいた視点を参考に調べてみてください。なお定量的な計算は、地震の規模や震源の位置など、変数が無限にあるために困難です。
Q3仙台で行われているような街歩きができるといいのですが、どのように旗振りをしていけばいいのか、ノウハウを教えていただきたい。【自治会関係者】
実際に生徒たちとフィールドワークをして地形から考えたいと思いましたが、専門的な知識がなくてもできる方法はありますか。【本校教職員】
➡一般的に危険個所を見て回るものだと広まりません。楽しく歩いて地形を知ることから始めるとよいと思います。また、地図上で台地と低地を塗り分けて可視化するなどの取り組みもよいと思います。大まかな地形については、国土地理院の地形分類図が参考になるかと思いますので、以下のURLをご参照ください。(https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lfc_index.html)
Q4古い地形図の入手方法は?【自治会関係者】
➡国土地理院のホームページから地形図をみることができます。簡易的に新旧の違いなどを見たい場合には、埼玉大学の谷先生がかつてお作りになった「今昔マップ」(https://ktgis.net/kjmapw/)が便利です。講演で用いた、ご自身が住んでいる家を識別できる高い解像度の地形図は、都市計画基本図といいます。縮尺は1月2日,500です。横浜市や瀬谷区役所のウェブサイトで閲覧可能です。なお、講演で皆様に紹介したのは、「空中写真」です。空中写真は、以下のサイトからダウンロード可能です(https://service.gsi.go.jp/map-photos/app/map?search=photo)。米軍が撮影した古い空中写真から最新のものまで、無料で見ることができます。