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更新日:2022年9月26日
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第1回は宮田大輔さんのお母様、宮田容子さんにお話をお聞きしました。大輔さんは、本校の幼稚部に入学後、小学部(平成5年入学)、中学部、高等部普通科まで盲学校に14年間在籍し、卒業後は東京都日野市にある視覚障害者のための総合福祉施設「東京光の家」の「新生園」(障害者支援施設[訓練型])に入所し、現在に至っています。
盲:宮田さんの場合、盲学校の小学部を選んだ理由は何だったのでしょう。
宮:うちの場合は、幼稚部から通っていたし、幼稚部でうまくいっているように感じていたので、そのまま盲学校の小学部というふうに、あまり迷わずに考えました。
盲:やはり幼稚部での実績というか、経験は大きかったですか。
宮:そうですね、幼稚部には本人も楽しそうに通っていたので、このまま専門的な教育の受けられる盲学校の小学部へと考えました。
盲:宮田さんの場合は幼稚部での経験が大きかったとのことですが、小学校への進学とまでは行かなくても、小学校へ交流教育に行くことについてはどのようにお考えになられたのでしょう。
宮:人に聞くと、「大勢の子どもたちに囲まれて育つことが大切なんだ」みたいなことを言う人もいたのですが、大勢の中で一人だけイスに座って、何もしないで置いておかれても、何か意味があるのかなと思っていました。大勢の中で刺激を受けるっていうのが、イメージできず、よくわからなかったんです。盲学校にいれば、うちの子に合った専門的な教育が受けられる、その方がよっぽどいいかなと思ったので、地域での交流ということも考えませんでした。
誰でもそうだとは思うんですけど、私も当時はまだ、自分の子の障害の程度を認めたくないという部分を持っていたので、もうちょっとこうなるんじゃないかとか、もっとできるようになるんじゃないかとか、視覚以外の障害を認めたくないという思いがまだありました。今でこそ素直に自分の子の障害の状態を知的な部分も含めて認めることができて、結果としては本当に盲学校で良かったと思っています。
盲:今は、以前に比べて就学する学校を選べるようになってきました。けれども学校を選ぶための十分な情報が確保されているかというと、残念ながらまだまだだと思われます。もっともっと保護者の方たちへの情報の発信は必要だと思っています。そこで一つの情報発信として、今回のこのようなことを企画した訳なんです。
宮:今の若いお母さんたちと私たちのころとは時代が違うし、まわりの環境とかも違うとは思いますが、自分の子の性格や能力をしっかりわかることが大切だと思います。みなさん、その時その時で一生懸命だとは思うんですけど・・・。でも、私はやっぱり専門的な教育の場としての盲学校を薦めたいですね。
盲:ありがとうございます。ところで、こうして盲学校を取り巻く環境が変化してきているのですが、これからの盲学校はどうしたらいいでしょうか。宮田さんからの提言のようなものはありますか。
宮:小学部の段階では、まだ先のことはわからないことも多いと思うのですが、点字ができる子には点字をできるようにするとか、できない場合にはその前の段階をするとか、その子に合った専門的なことを指導してほしい、その子のできること、得意なことを伸ばしてほしいと思います。さっきも言ったように、視覚に障害を持った子に専門的な教育をきちんとしてほしいということでしょうね。それが一番できるのが盲学校だと思います。
盲:そうですね。盲学校の存在価値は、突き詰めればそのことに集約されるのでしょうね。では、学校ということではなく、今悩んでいる若いお父さんお母さんたちに、先輩保護者としてアドバイスできるようなことはありますか。
宮:どこの学校に行かれるにしても、自分の子の障害の程度を理解すること。それって、難しいかもしれないけど、きっとできるできるって、何でもかんでも思っちゃうと、後でショックを受けたりすることもあるので、やっぱり自分の子を正しく理解すること、認めるということが、その時その時のいろいろなことを決めていく上でも大切だと思います。うちの子も、ずうっと点字ができるできるって思っていたけど、やっぱりダメだったって、どこかで切りかえなくてはいけないというのがあって、障害は目だけかなって思っていた、思いたがっていたけど、やっぱりそれだけじゃないんだというように認めざるを得なくなる。だから、きちんと認めることが大切だと思います。それが学校選びの場合も大切だと思います。まあ、できると思ってそれに向かって努力したことは、決して無駄にはなっていないと思うし、うちの子にとっても、待つことができるとか、机に向かって座っていられるとか、黙って話を聞いていられるということはすごく大事で、今の施設に入っても、そうしたことができるというのは良かったと思っています。今のところでも運動会とかあるんですけど、やっぱり目の不自由な子には不自由な子なりのやり方っていろいろあるじゃないですか。そういうことを盲学校でやってきて、それが今も続けていられるのも良かったと思っています。
盲:まあ、それは盲学校ですから、長い間のいろんなノウハウの蓄積があるわけですから。体育祭にしろ、文化祭にしろ、もちろん普段の勉強にしろ、そこが盲学校の専門性ですから。
宮:そう、だから専門的な教育ってところでは絶対に盲学校だと思います。
盲:応援の言葉、ありがとうございます。盲学校も肝に銘じてこれからもがんばっていきたいと思います。今日はいろいろとありがとうございました。