厚木東高等学校 > 校長だより(令和3年度以前) > 【54】 厚木東高校 Google Classroom の取組
更新日:2020年10月9日
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6月に入って分散登校が始まり、20人で週2回からですが、学校での対面の授業が再開されました!久しぶりの再会に、校舎にグランドににぎやかな生徒たちの声が響き、「やっぱり学校には生徒がいなくちゃね!」と当たり前の(当たり前だった)ことをかみしめています。
さて、保護者の皆さんや、中学生の皆さんの中には、臨時休業中から生徒が懸命に取り組んでいるオンライン学習について、「Google Classroom(グーグルクラスルーム)って、具体的にはどんなことをやっているのかしら?」と疑問に思われている方も多いと思います。
そこで今回は本校の先生方そして生徒たちがこれまで一生懸命取り組んできた、さまざまなオンライン授業、さまざまな学びの形を、写真とともにご紹介したいと思います。
オンラインというとこのような授業を想像される方が多いと思います。予備校や通信制の学校などで多く行われてきた「動画」の授業です。
ご存じのように、学校再開とは言ってもまだまだ週に2回・3回の授業で、しばらく授業がないクラスもあります。プリントや問題集の自習だけではどうしてもわかりにくいだろう、またもし“臨時休業再び”という事態になったら⁉ということで、最近多くの先生方が動画授業に挑戦してくださっています。その中でも、本校でいち早く動画の授業を始められたのは、本校の学習支援グループリーダー、化学の吉良先生(弓道部)です。3年理系の化学はG組だけですが、6単位です。在宅の受験生に週に6時間分の量の学びを保障するのは容易なことではありません。もともと「実験で進める授業」をテーマに取り組んでこられた吉良先生は、受験に向け生徒の学びを止めないため、授業のない日は毎日、ほぼ1時限分の授業動画をアップしながら学びの継続に取り組まれてきました。
動画の中で、「演示実験」を多く取り入れ、家にいながらも生徒たちが実験を体感できるように工夫しています。動画の授業はまず予告した決まった時間に「ライブ」で生配信し、その際には「チャット」を使って質問を受けたり答えたりの、生徒とのやり取りにもトライしていました。
日々増えていく動画は、見逃した生徒や復習したい生徒が、後で「オンデマンド」で何回も見直せるようにGoogle Classroom 内に整理して置いていきました。
1つの授業は50~60分、途中何度も画像を止めながら、ノートに整理しながら、見られるところがいいです。慣れない動画の授業での学習は10分程度が集中力の限界といわれていますから、頑張ってついてきている3Gの38人の生徒たちもスゴイと思います。
つづいては1年生の数学Ⅰと数学Aを担当する廣瀬先生(男子サッカー部)です。最初の対面授業までの期間にクラス間で大きな差があったので、これまで取り組んできた教科書やドリル問題の復習・今後の対面授業の予習として活用できるように、パワーポイントを使って行った授業を録画して、動画授業を作っています。同じ科目を担当する他の先生方もチームとなって動画づくりに取り組み始めました。動画授業は皆同様にGoogle ClassroomからYouTubeに限定公開しています。
初めての高校数学を家で自分で勉強してね!といわれた新入生の皆さんは、教科書とドリル問題集を前に、大変苦労したことと思います。特に数学が苦手な人は頭を抱えたことでしょう。最初は中学の復習から始まります。ぜひあきらめずに、これらの動画を見て、何度もトライしてほしいと願っています。
せっかく先生になったのに、今年はなかなか生徒に会えない年になってしまった、希望溢れる新人の先生も先輩方とともに頑張っています。
こちらは課題に入る前に短い動画で説明をしているところです。
さて、Google Classroom の基本的な機能として、課題のプリントを置くことができます。プリンター環境があれば印刷することも可能です。スマホだと画面が小さいのが難点ですが、カラーで見られるところはいいですね。早く文科省のGIGAスクール構想を推進して、1人1台のクロームブックが、速やかに配付されることを願っています。
プリント課題に取り組んだ後の、提出はどうなるでしょうか? 一つは記入して、最初の登校日に持参するという、最も基本的なアナログな方法です。答えのプリントを後から示して、各自で答え合わせをする手法は、一番多く実施されていることでしょう。
しかし、入った知識を定着させるためには、アウトプットも大事ということで、(そしてまた、次の登校日が1学期中ずっと無い可能性もあったので、)次の例は、プリント課題の答えを、Google Form での問題に答える形でオンライン上で回答するやり方です。調べながら答える調べ学習の形式をとったり、一つの単元のまとめの小テストの形をとったり、いろいろなやり方があります。次の画像は「ストリーム」の課題の手順を説明する部分ですが、下の方にPDFで置かれたプリント課題に取り組んで、Formで答えるようになっています。
続いては世界史教諭生駒先生です。3年生の世界史Bと世界史研究を担当しています。生駒先生は9年間の長きにわたって本校で世界史を教えてこられたベテランの先生ですが、この3月に再任用教諭をご卒業され、引き続き非常勤講師として週に7時間だけ教えていただくことになりました。「ICTは若い人で」とおっしゃっていたのに、コロナ非常事態の生徒たちの学びの危機を認識されるやいなや、あっという間にGoogle Classroom を学んで、バンバン課題を出し始めてくださいました。なんという挑戦マインド! 大先輩の挑戦に、文字通り涙が出ました。尊敬しかありません。
こちらは、漢字テストがコンピューターでできるんだ!と、目からウロコでした。Formではクラスと出席番号を選んでから問題に答えます。うっかり間違えてしまいました!(泣)
こちらは、生物です。学習の後の「確認テスト」。ラジオボタンで選択肢を選んで答えます。一つの単元項目を終えた後にまとめとして行なっています。
次はコミュニケーション英語Ⅲの「リーディングスキル(読解力)テスト」です。教科書の本文を読んで内容についての正誤問題に答えます。このように同じ科目を担当する複数の先生方がチームとなって協働作業で課題を作り上げていることが多いです。
制限の多い中で、少しでも生徒の皆さんが取り組みやすいように、実技科目の課題の提示方法も、写真で過去の作品例を示すなど、いろいろ工夫されています。次の例は子どもの発達と保育の「幼児向けカレンダーづくり」です。
こちらは1年美術Ⅰの課題「ツツジのスケッチ」の指示の一部です。教員が、自己紹介をしたり、生徒からの質問に答えたりするのも、とても大切なこと。大隅先生は、美大志望の生徒にオンラインでのリモート指導もしています。
次は3年生の文系選択科目「幼児教育音楽」のクラスルームの中の「授業」のリストです。課題が順に並んでいますが、最初に家での練習環境を確かめ進路希望を確認し、順に課題や回答、その補足に進んでいることがわかります。
保健体育も、年間の指導計画を大幅に見直し、休業中は主に保健と体育理論の面からの課題が課されました。臨時休業が終わって、ようやく実技の授業が始まりました。実技は教員が3人ずつのチームで2クラス3種目展開の授業を行います。暑い中、三密と熱中症に気をつけながら実施していますが、生徒たちは、楽しそうに取り組んでいます。
こちらは情報科の調べ学習です。このように、選択肢や記号ではなく、記述式で、文で答える課題もたくさんありました。3年生には特に重要です。
皆さんいかがでしたか? 東高の今年度これまでの授業の様子が少しご理解いただけたでしょうか? コロナ禍の中で、先生方も生徒諸君も頑張って学び、コロナ禍がなかったらやらなかったかもしれないような、新しいことにどんどん挑戦しています! ICT利活用推進校でもなんでもない、普通の素敵な県立高校、厚木東高等学校のICT利活用能力が、このコロナ禍で、格段にUPしました。生徒たちも、先生がたもです。
まさに本校のスクールスローガン『厚木東で挑戦』を体現実行しています。
この3つの目標の下、
「ピンチをチャンスに!」
を合言葉に、東高の先生方は頑張っています。そして、生徒の皆さんもまた、ものすごく頑張っています!
自分で読み取る力、自分で学ぶ力は、100年を生きる生涯の宝となります。教員も生徒も、これからも「厚木東で挑戦」し続けます。
正直、まだ課題もたくさんあります。生徒全員が一人残らず前向きに取り組めているとは言えません。そしてそれは、必ずしも生徒の責任ではありません。元気でニコニコ、学校ではしゃいでいる生徒だって、ココロの中では、先の見えない社会のさまざまな不安と戦っています。一つずつやれることをやっていくしかありません。失ったものでなく得たものを数えたいと思います。
今後もいろいろ紹介してまいります。どうぞお楽しみに!