ひとこまコラム リターンズ

 毎月1回、会員が書くコラムが復活しました!
 本の紹介や本と人、人と人とをつなげるエピソードなど、学校図書館の日常の一コマを切り取ったコラムです。
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ひとこまコラムリターンズ 第69走者

便りがないのは……   2024/06/03更新

『いとしのソフトクリーム130』
『いとしのソフトクリーム130』
 プロソフトクリーマー森川【著】
 主婦と生活社
 (2023.12)

 はじめて尽くしの一年間でした。
 はじめての貸出から始まり、はじめての図書委員会にはじめての授業利用、はじめての常連さんもできました。
 その常連さんは3年生。来週また来ると言ってから、めっきり来なくなってしまった時期がありました。
 心配する日々を送っていましたが、ある日何事もなかったかのようにいつもの楽しそうな様子でひょっこりやってきました。便りが無いのは元気な証拠といいますけれども、こういうことかと実感したのもはじめてでした。

「あの展示してある本って見られるんですか?」
 図書整理室の扉を叩いて質問してきたのはいつもの常連さん。
 展示してあったのは『いとしのソフトクリーム130』。全国各地のソフトクリームが紹介された本です。開けば魅惑のソフトクリームの世界が広がります。
 もちろん見られますよと答え、ガラスの展示棚から取り出し渡すと、一緒に見ましょうと誘われました。聞くとソフトクリームやアイスクリームが大好きなのだといいます。私も氷菓が好きなので意気投合しました。

 この春から新しく入った自動販売機にアイスクリームのものがあります。ふと、あの常連さんがいたら喜んだだろうなと思いました。ソフトクリームの写真を見ながらあれやこれやと話したのは最近のようで昔のようで。
 はじめて卒業生を送り出しました。応援する気持ちと少し寂しい気持ちとがあたたかな日差しに融けていくようです。  春休みになったら絶対に来ると言っていましたが、結局来ませんでした。
 便りが無いのは良い便り。きっと新しい生活の中で元気にすごしているのでしょう。


<六花>
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