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更新日:2024年5月30日
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食品科学科微生物実験室の紹介
食品科学科棟の2階には、微生物利用の授業で使用する微生物実験室があります。微生物利用の授業は、2年生、3年生で学習します。食品の製造に関わる微生物を始め、食中毒細菌などについて実験を通して学習を進めていきます。
これらの写真は、微生物を育てるための培地を作成している様子です。微生物の栄養源となる試薬を溶かし、試験管へ分注していきます。その後、121℃で15分間殺菌をして培地を使用します。
作成した培地に培養したい微生物を接種していきます。30℃で2日間培養して観察を行います。下段右側の写真は、乳酸菌や納豆菌などの細菌をグラム染色法で染色し、顕微鏡で観察しているところです。乳酸菌などの細菌は非常に小さいため1000倍の倍率で顕微鏡観察を行います。
食品科学科製菓製パン室の紹介
新校舎に移り、新しくなった製菓製パン室を紹介いたします。製菓製パン室では、食品製造や総合実習などの授業でパンや焼き菓子などの製造を行う実習室です。大量に製造する際に必要となる大型ミキサーや発酵に必要なホイロ、業務用オーブンなど新しい機器が導入されています。
これらの機器も活用しながら、製造実習を行なっています。授業で行う製造実習は、20名で行い、4時間の授業時間内に座学や材料の計量、製造、片付けまでを行なっています。基本的に製造したものは持ち帰り試食しますが、実習によっては販売するための商品を製造することもあります。写真は、メロンパン実習とマドレーヌ実習です。
2年生食品化学〜食品成分分析灰分の定量〜
2年生の食品化学では、市販されているお菓子の成分分析を1年間かけて行っています。まずは重量分析と呼ばれる水分、脂質、灰分の定量を行い、タンパク質やデンプンなどの炭水化物の定量実験を行なっています。
写真は、灰分の定量実験です。灰分とは、試料を550℃で加熱し残った灰の重量より求められ、無機質のおおよその総量と考えられています。実験には直接灰化法を用い、るつぼという磁性の器具に試料を正確に秤り込み、550℃の電気炉で1〜2時間加熱し、放冷後電子天秤で質量を測定します。測定に使用する電子天秤は、大変精密な天秤で0.1mgまで測ることができます。
写真は灰分測定に使用する器具です | 電気炉を用い550℃で加熱し 試料を灰化します |
電子天秤で0.1mg単位まで精秤します | 作業は天秤室で行います |
「微生物利用」〜培地作り〜
食品科学科では様々な専門科目がありますが、2年生から学習する「微生物利用」も特徴的な科目の一つです。この科目では、食品の製造に関係の深い微生物について実験を通して学習しています。
2年生の初めての実験では、微生物の培養に使用するYM培地の作成を行いました。培地とは、微生物の生育に必要な栄養源を含んでいる培養基のことです。酵母エキスやブドウ糖などの栄養源、固化させるための寒天を加え、試験管に分注していきます。その後、121℃・15分間殺菌をして使用します。
作成した培地は、次の実験でコウジカビの培養に使用します。
みその仕込み実習
宿泊実習で製造した麦麹を使用して、1回目の相陵みその仕込み実習を行いました。仕込み実習前日に大豆180kgを水洗いし一晩浸漬させます。仕込み当日の早朝、水切りをした大豆を高圧蒸気で蒸しあげます。その後、大きな木製の混合槽の中で蒸した大豆、塩、麦麹を混ぜ合わせます。量が多いので大変ですが生徒は交代しながら丁寧に作業を進めます。その後、味噌こし機で細かく砕き樽に詰めていきます。
半年間熟成させ天地返しやパック詰の実習を経て、風味豊かな麦みそ、「相陵みそ」の完成となります。秋の相陵祭(文化祭)で販売を予定しておりますので楽しみにしていてください!
製麹宿泊実習
毎年行っている「製麹実習」が今年も始まりました。食品科学科の2年生が4〜7名ずつ学校に宿泊し、2週間の間に280kgの麦を使用し麦麹を作ります。
作業工程としては、蒸した麦に種麹菌を混ぜ込み、麹蓋と呼ばれる木製の箱に分け温度と湿度を管理できる麹室の中に運びます。その後は1時間ごとの検温や手入れなどを行います。26時間後、塩と混ぜ麹菌の働きを止める作業である塩切りを行い麦麹の完成です。出来上がった麦麹は、相原高校の人気商品である「相陵みそ」の仕込み実習で使用します。
新校舎に移転して初めての製麹実習なので、新しい施設・設備に不慣れな中ではありますが、生徒も教員も一生懸命作業に取り組んでいます。秋には美味しい「相陵みそ」をたくさんの方々に販売できるよう頑張っています!