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更新日:2024年1月16日

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令和5年度3学期 始業式 校長講話

令和6年1月9日

「奇跡」は「準備」と「進歩」から生まれるイラスト1

皆さん、新年あけましておめでとうございます。

この言葉で、互いに新年の寿ぐ元旦も、今年は能登半島地震やその翌日の旅客機と海上保安庁機との衝突事故の発生など、心穏やかではないスタートとなりました。

皆さんはいかがだったでしょうか?

さて、皆さんには終業式に、

「自分の目標を定め、そのための道のりを考えてみてほしい」

とお願いしました。いかがだったでしょうか。

例えば、今まさに3年生は進路決定期の真っただ中ですが、一方で、受験の世界では2年生の3学期は「3年0学期」だとも言われます。進路決定の取組はよくマラソンに例えられますが、「ゴール」(日程とか目標とする学力レベルとか)が決まっているのだから、そのための準備は早く始めることに越したことはないし、より効率よくそして根気強く積み重ねているに限る…というわけです。かくいう私自身、この言葉は高校時代に何度も聞いていたわけですが、なかなかそうならず…ではありました。

「一年の計は元旦にあり」です。新春にあたり、ぜひ、皆さん一人一人が、「自分」を意識し「未来」を考え、そのための準備を始めてみましょう。

その第1歩として、「深く考えること」と「自分の意見を持つこと」を、お勧めします。

情報化社会という言葉がすでに死語となるほど、情報が身近にあることが極めて当たり前である今。それほど苦労せずに、私たちは知らないことを知ることが可能です。ですが、調べごとが一定の労を要していた時代のように「知ったこと=知識として身につく」では、必ずしもなくなってきていると感じます。

昨今、不確かな情報やネット上のつぶやき等が大きな流れやバッシング等の温床となっていること等は、その一つだと感じています。先進技術は「使うもの」であっても「使われてしまう・依存してしまう」ものであってはなりません。そんな思いを心に留めつつ、技術の革新とともに歩んでいきたいものです。

 

先日の飛行機衝突事故では、旅客機側の300名を優に超える乗員乗客が僅か18分ほどで、燃え盛る炎の迫る機体から脱出できたことに、国内外を問わず驚きと称賛の声が上がっています。

一方で、海上保安庁の乗員の尊い命が失われたことは事実であり、事故に至った原因は、再発防止策を含めて、追って解明されるべきであります。

「ハインリッヒの法則」では、

「1つの重大事故の背景には

29の軽微な事故と

300のヒヤリハットがある」

とされています。今回の事故はおそらく1/330よりもっと確率の低いものであったかもしれません。そんな中の、この「奇跡」を可能とした要因を、報道をもとに少し考えてみました。

単に「運がよかった」だけなのか…と。

直接避難誘導にあたった客室乗務員の方々は勿論、事故現場近くにいた地上のスタッフも、夕闇での誘導を行うなど、それぞれがベストな判断を心がけたことで、迅速かつ安全な避難を可能にしたとのことです。パニックにもなるだろう中、係の指示に従い整然と避難した乗客の皆さんの行動も、大きな要因だったでしょう。

これらは、積み重ねてきた「準備」がなせる業です。乗務員や関係者は日頃から「起こらないはずの」非常時を想定した訓練を続けているそうです。そして乗客にも、毎回フライト前に動画を流し一通り視聴します。

それらの結果、「予想外の事態」でも「想定内の行動」が可能となったとも考えられます。

また、飛行機の機体も、軽量かつ燃えにくい素材へと「技術の革新」が進んだことも、一役買っているとのことです。一昔前の技術の機体であれば、もっと早く燃え広がったかもしれないそうです。

 

私たちにはそれぞれが「事前に想定し準備する」ことと「技術革新」でそれまでと違った環境をつくりだすことで、よりよい社会を築く力が備わっています。

この力を発揮し、次世代を「より豊かな社会」へと成長させていく人材に、厚木東高校生が育っていく。そのために職員一同で力を尽くす。

これを「一年の計」として、私の言葉といたします。