厚木東高等学校 > 学校概要 > 学校長あいさつ > 令和5年3学期修了式校長あいさつ

更新日:2023年3月29日

ここから本文です。

3学期修了式の校長あいさつ 令和5年3月24日

みなさん、おはようございます。今日で令和4年度が終了します。皆さんにとって、この一年はどんな年だったでしょうか。

1年生は入試を突破し、本校に入学。今、どうですか?思い描いていた「高校生活」をおくれていますか?

2年生は、特に夏以降、行事や部活動で主導的な役割を担うことが多くなったり、修学旅行など、とても印象深い経験をする機会があったりと、盛りだくさんな1年だったのではないでしょうか。

本校では、進級前に「教室移動」を行い、一足早く「上級学年の階」での生活がスタートします。今の気持ちはどうでしょうか?違和感ですか?それとも進級する実感でしょうか?

これも、「よし!心機一転だ!」と気持ちの切り替えを与えるよいきっかけだなと、私は感じています。

少し短い春休みを過ぎると、それぞれ1つ学年が上がります。

皆さんそれぞれが今までを振り返り、新2年生は自らの高校生活を充実されるべく整える日々に、また新3年生は「勝負の1年」に向けて、狙いを定め、本格的な行動を起こす、そんな時間にしてくれるとよいと思います。

さて、今年はいろんな行事が「元に戻りつつある」1年でした。

遠足や体育祭、部活動の大会、手児奈祭、修学旅行…100%完全でないまでも、中止することなく、やり終えることができました。これは、生徒の皆さん一人一人の意識の結集の成果であり、校長として、これほど誇れるものはない「厚木東の底力」を見せつけてくれました。本当にありがとう。

そんな中の最後に、「百人一首大会」「合唱コンクール」「球技大会」がありました。それぞれが準備し、それぞれの行事を大切にしてくれている姿に、私は感動しました。合唱コンクールでは「審査員」として、その頑張りに優劣をつけなければならないという「この1年で一番難しい仕事」を体験しました。

最優秀となった1年B組が歌った『虹』という曲には次のようなフレーズがあります。

僕らの出会いを 誰かが別れと呼んだ

僕らの別れを 誰かが出会いと呼んだ

僕らの喜びを 誰かが悲しみと呼んだ

僕らの悲しみを 誰かが喜びと呼んだ

対となるこのフレーズ。でも、確かにそうだなって思います。

そんなことの繰り返しの中で、私たちの人生は続いていきます。

昔の高名なプロ野球の監督が「勝ちに不思議の勝ちあり・負けに不思議の負けなし」

と言っていたように、「失敗から学ぶ・反省する」のは良しとしても、とかく、私たちは「負け・失敗」に心痛め、失敗そのものを恐れたりしてしまいます。必要以上に悔やんだり、自分を偽ったり、時に相手を悪く言ったりもしてしまうのも、人間の弱いところです。

ところで、「グッドルーザー」という言葉を知ってますか?

直訳すれば「よき敗者」。自らの負けを潔く認めつつ、勝者をリスペクトするこの心の中には、「結果は結果。互いに精いっぱい力を出し合った、一生懸命戦ったその健闘を称えあおう」という、スポーツマンシップの神髄ともいえる精神があります。

「挑戦したこと」そのものはとても意義深いもので、それを否定したり、悔やんだりはしないという心ともいえます。

一昨日の野球のWBCは、日本の3大会ぶり3回目の優勝で幕を閉じましたが、称賛されたのはその強さばかりではなく、大谷翔平選手のコメントに代表される「互いに最高の場面で戦えあえた相手を、仲間としてたたえあう姿」ではなかったではないでしょうか。

その結果として、中国・韓国・オーストラリア・チェコ・メキシコと対戦相手だった国の選手たちが「日本の応援団」となってくれていたり、アメリカと互いに健闘をたたえあったりできていました。その姿が、私たちに「真剣に向き合うこと」と「互いを認め合うこと」の尊さを伝えてくれました。

先に紹介した『虹』のフレーズも、そこに互いのリスペクトがあるから、より心に響くのではないか。どちらの瞬間もそれぞれにとって「大切な時間」であることは変わりない、と歌い上げていると、私は感じました。

「自分が頑張ること」と「他人を認め合うこと」は決して相反するものではありません。

ぜひとも、皆さんが作り出す未来は、そんな、広い意味での「チームワーク」を発揮できる、世の中全体が「ワンチーム」であるって笑顔で言い合える社会になっていってほしい。これが、校長としての私の願いです。

もうすぐ新一年生がやってきます。78期生。単独・厚木東高校の最後の入学生です。そして118年の歴史のラストイヤーとなる1年が始まります。次の一年が、さらに充実したものとなるように祈念し、私の言葉といたします。