更新日:2025年3月19日
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北条実時が創設した「金沢文庫」の蔵書は、鎌倉幕府滅亡後、隣接する菩提寺の称名寺によって管理されました。
称名寺には、中世より僧侶たちが収集し書き残してきた「聖教」(仏教典籍)が伝わっています。なかには称名寺にしか現存していない稀覯本や、現存最古の写本などもあり、仏教史や寺院史を解明する上で欠かせない資料群です。1万6千点を超える「称名寺聖教」は、「金沢文庫文書」とともに、平成28年(2016)に国宝に指定されました。
金沢北条氏一族や称名寺の僧侶の手紙など約4千通が伝わっています。「金沢文庫文書」には、不要になった手紙を再利用し、僧侶が裏面に仏典を写したものが多いという特徴があります。元寇などの対外関係の緊迫した状況や、鎌倉時代の人々の日常の暮らしぶりをうかがうことができる貴重な歴史資料です。
北条実時により称名寺に寄進された一切経です。宋代に福州(現在の中国福建省周辺)で印刷された版本を中心に、約3500帖が残っています。令和5年(2023)には、具体的な仏典名や書誌情報をまとめた目録『称名寺大蔵経―重要文化財 宋版一切経目録―』(臨川書店)を刊行しました。
金沢北条氏歴代(実時、顕時、貞顕、貞将)の肖像画(いずれも国宝)や、称名寺開山の審海上人像(国重文)、極楽寺の忍性像(国重文)をはじめ、中国からもたらされた十六羅漢像(国重文)や密教絵画など、多岐にわたる絵画を保管しています。
院保作の清涼寺式釈迦如来立像(国重文)ならびに十大弟子像(県重文)、鋳造当時の美しい姿を今に伝える金銅製愛染明王像(国重文)、運慶晩年の作である「大威徳明王像」(国重文)のほか、称名寺に伝来した金沢北条氏ゆかりの仏像がその中心を占めます。
中国との交易によってもたらされた元時代の青磁壺(国重文)や青磁花瓶、日本に現存するものでは唯一と考えられる水晶製の玉華鬘(国重文)、称名寺開山審海が使った密教法具などがあります。
鎌倉時代の随筆『徒然草』の作者として知られる兼好法師は、一説に金沢北条氏ゆかりの人物といわれます。当文庫には、絵画や屏風、絵入り絵本など、『徒然草』関係の資料を多く所蔵しています。
江戸時代、明から来日した東皐心越が、金沢能見堂からながめた金沢の内海の勝景を中国の「瀟湘八景」になぞらえて詠んだ漢詩をもとに、「金沢八景」が成立します。人気を博した歌川広重の連作をはじめ、「金沢八景」を題材とした浮世絵などを収蔵しています。