横浜国際高等学校 > 在校生・保護者の方へ > 校長だより(Vol.22)模擬国連の魅力とは
更新日:2025年1月20日
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横浜国際高校(YIS)には模擬国連という部活動があります。県内で模擬国連部がある高校は公立私立含めて少なく、本校の模擬国連部の活動は国際高校であるYISの特徴の一つにもなっています。模擬国連では、参加者が各国の大使になりきって、議論や交渉を行います。ふだん高校生があまり考えることがない国際問題に関しても、各国の大使としての役割を担い、国益を背負い、様々な国と交渉し合意形成を図っていきます。今回は、YISの模擬国連部の生徒に話を聞きました。
「高校に入ってはじめて模擬国連という名前を聞いたときは、何をしているのかわからない、その未知な感覚にすごくワクワクしました。何をやっているかわからなくて、自分にとって身近なものではないけど、なんだか楽しそう、そんな雰囲気を感じたのを覚えています。私は人生を通してロマンチストになりたいと思っていて、それはどういうことかと言うと、社会にはすごく現実的で何事にも批判的に考える人がいますけど、私は何事にも明るい目線で焦点をあてて前向きに考えられるロマンチストになりたいと思っています。そのためにはどうしたらいいかを考えたとき、ただのロマンチストではなくて、世界のいろいろな生臭さと言えばいいのか、キレイではないところも知った上でロマンチストになろう、と思ったのが模擬国連部に入部を決めた大きな理由でした。」
「私は模擬国連部という響きを聞いたときに、すごくめずらしい部活だなというのが第一印象でした。一般的な日本の高校にはあまり見られない部活ですし、YISという国際高校ならではの部活だなと思いました。私は横浜国際に入学する前から模擬国連という部活動があることは知っていて、それは、私の6歳上のいとこが中高一貫の私立に通っていて、そこの学校の文化祭に遊びに行ったとき、模擬国連の展示がされていて、それを見て、世界の問題とかグローバルな問題を取り扱っていてすごいなぁと当時幼いながら感銘を受けました。本格的にグローバルな問題に目を向け始めたのはYISの模擬国連部に入ってからで、模擬国連の活動を通して、まだ具体的ではないですけど、ちょっとした夢ができました。それは、人と人をつなぐための架け橋になる、そういう人間になりたいという夢です。」
「私は入学前に父が横浜国際高校について調べてくれて、模擬国連部というおもしろい部活があるよと教えてくれて、それが模擬国連を知ったきっかけです。もともと部活には入るつもりはなくて、高校では勉強に集中するつもりでした。でも、中学の英語の教科書でグレートバリアリーフの英文などを読んで、社会問題って面白いなと思って、そこには生臭さもありますが、国連にはそうした課題を解決していこうという姿があって、すごいなと思いました。現実を見ると解決は不可能のように見えても、それを解決しようとしているのがとても楽しそうで、ぜひ自分も国際的な社会問題を考えてみたいと思ったのが入部した理由です。」
インタビューに答えてくれた生徒と顧問の門田先生
「私は本当にシンプルにいろいろな人に出会えることが魅力だと思います。大会では全国からいろいろな人が集まります。会議はポジティブな意味で整理されていないカオスのような感じで、常に自分の予想とは異なる会議展開になり、他者と合意形成をしていく、そこが刺激的です。私は全日本教育模擬国連の実行委員をさせていただいたのですが、それがとても貴重な経験になりました。模擬国連では、大人とはまったく違う結果が出てきて、実際の国連の場とはまったく異なった決議文が採択されたりします。やはりそれは、私たち高校生が無知で無謀ながらエネルギッシュな挑戦を大人に提案できるというモデルを示していると思います。」
「私は模擬国連の魅力はたくさんあると思います。1つめは、いろいろな国の大使になりきって動くことで、多面的で多角的な思考が身に付くことです。例えば、最初の会議ではフランスという先進国側の視点に立って物事を考えていたのが、次の会議ではエチオピアという発展途上国の視点に立って考えたりするので、重要視するポイントが立場によって違ってきて、そこに魅力を感じます。2つめは、他校に友だちができることです。大会で知り合った他校の友だちとは今でもラインで交流を続けています。3つめは、英語力が伸びることです。模擬国連では公式発言のときは英語で話すこととされているので、正式な会議の時って、こういう表現を使うんだなぁとか、こんな言い回しがあるんだぁとか、そういったことがとても勉強になります。4つめは、交渉力やコミュニケーション力が磨かれることです。私がこういうふうに動いたら相手もこういうふうに動いてくれるんだぁ、みたいな力が高まります。また、大使は基本的に二人とか三人で動くことが多いので、協働作業とかチームワークにも慣れてきます。5つめは、地理とか政治とか経済とか、その国の歴史とか、そうした今まで知らなかったその国の成り立ちとかを知ることができるので、どんどん自分の見える世界が広がっていく感覚があります。」
「国際社会での課題が、より身近に感じるのが魅力です。国際的な課題を扱っていく中で、その国のことを自分事として考えていくので、その課題の重大さに気づけるのが魅力だと思います。」
参加した大会での様子
「私は2年生でもう引退になるので1年生が自由にやってもらえればと思うのですが、ただの部活という集まりだけではなくて、学びの場として機能していけたらいいのではないかと思います。」
「2つあります。1つめは交渉に強くなりたいということです。やはり大会に出てみると、周囲のみんなが本当に高校生かなと思うくらい活発で積極的でイニシアチブを握っているという感じで、そういった人たちのサポートに回るだけでなくて、今度は自分からイニシアチブがとれるようになりたいです。2つめは、今よりも国際情勢に強くなりたいと思います。いろいろな国のことを知って、そうすればその分だけ、次にその国が自分のスタンスを書くときにまわってきたら、その知識を生かすことができるからです。」
「やはり交渉力を上げたいなと思っています。入部して初めての大会では、本当に緊張して、周りの高校生の勢いがすごくて、最初は参加というより傍観といった感じでした。今でも積極的に参加することができていないので、そこをより積極的に自分の意見を言えるようにして、また根拠を持ってしっかりと芯のある意見を言えるようになりたいと思っています。」
「受検生は成績とか模試とか自分を他のみんなと同じ物差しにあてはめて測っていくことになるので、そこでの戦いが受検生のときは苦しかったなと思います。私が受検生に伝えたいのは、自分でちゃんと選択して、YISに行こうと志願した時点で、もうYIS生としてふさわしいですし、学校としても欲しい人材だと思うので、自信を持ってほしいです。受検のための勉強は目標を達成するためのプロセスなので、受検のための勉強とは別のところに目標を持っていてほしいと思います。」
「私はYISに入って、そして模擬国連部に入って、世界の見え方がすごく変わったと感じています。それまではずっと暗いトンネルの中をさまよっているような、狭い世界にいた自分の見方が、YISに入って、模擬国連部に入って、あっ世界ってこんなに広かったんだという、何かそういったいろいろな広い世界をのぞくことができるようになって、今はすごく楽しい生活が送れています。見え方が変わると考え方も変わってきます。受検直前になると焦りとか緊張とか不安で一つの事しか見えなくなってくるかもしれませんが、そういった大変なことを乗り越えた先に明るい未来が待っていると信じて頑張ってほしいと思います。」
「私はYISに入ってから本当にいろいろな人に会って、中学とはまったく違う雰囲気の人に出会って、価値観も変わりましたし、物の見方もホント変わりました。模擬国連もそうですが、YISに入ることで日常生活の価値観が変わると思います。だから、ぜひそれを楽しみにして入ってきてほしいなと思います。」
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横浜国際高校(YIS)は神奈川の県立高校で唯一国際科の高校で、模擬国連部は、国際高校の象徴とも言えるような活動をしています。各国の大使の役割を担い、他者と合意形成をしていくことで、自国と他国の立場の違いや考え方の違いを知り、世界で起きている国際的な諸問題は、一つの論理では解決できないことを知ります。そうした活動を通して、生徒たちは自分自身の世界が広がっている実感を得ていきます。これからも模擬国連部の活動を応援していこうと思います。
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