横浜国際高等学校 > 在校生・保護者の方へ > 校長だより(Vol.14)米国カリフォルニア大学バークレー校での海外研修を終えて
更新日:2024年6月25日
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2024年3月20日~3月27日の8日間、学力向上進学重点校エントリー校18校の生徒を対象に、海外研修「次世代リーダー養成プログラム@米国カリフォルニア大学バークレー校」が実施されました。将来、国際社会で活躍するリーダーの育成をねらいとしたプログラムで、横浜国際高校の生徒2名も参加しました。今回は、海外大学での研修を終えた2名のYIS生に話を聞きました。
「私がこの研修をとおして一番良かったと思うのは、人とのつながりといった部分が大きかったと思います。現地で出会った友だちはもちろんですけど、日本から一緒に行った高校生が、同じ県に住んでいて、同じ同世代で、どんなところで頑張っているのかとか、自分と同じ分野に興味があるんだなとか、そういう同じ学校の友達からだけでは得られないつながりが、今回の研修を通してすごく得られたと思っています。それが一番自分にとってプラスになりました。」
「一言で言うと、レベルの高さに終始圧倒されて、でもそれは、自分の英語力の面とかだけではなくて、考え方や思考力の面からも圧倒されました。毎日、異国の地というのもあって新しい発見があるんですが、今まで自分にはなかった視点を取り入れることができました。また、仲間というのが本当に大切だなと思った研修でした。最初に自分たちの英語がダメだな、通じないなと思ったとき、2日目からは、自分たちの中の会話も英語で会話することが増えてきて、そんな、お互いに切磋琢磨しあって、ともにレベルを向上させていく研修になったと思います。」
「日本人とかアメリカ人とかに関わらず、育ってきた環境、例えば、文化だったり親のしつけだったり学校での教育だったり、そうした育ってきた環境の違いによって、その人の根底に根付いている感覚というか、物事に対する考え方や見方が、すごく変わるなと思いました。特に私が印象に残っているのは、ディスカッションで、失敗とは何かというテーマで話しあった時です。その時にいろんな意見が出て、自分の目標があってそれに達しなかったときに失敗というとか、または、前回自分が失敗したことを改善できなかった時に失敗というとか、いろんな意見が出て、やはりそういう部分で人って差が出るんだなと思いました。ですからディスカッションしていてもすごく盛り上がるし、自分も相手の意見とか聞いて新しい視点を取り入れることができて、すごく良いディスカッションだったなと思います。そういう面から言うと、日本人よりアメリカの学生は発言するときに失敗することを恐れないなという印象を持ちました。アメリカの学生の話を聞いていると、チャレンジしてみないとわからないといった精神をすごく私は感じました。それが日本の学生だと、もし言って間違っていたらどうしようとか、そういう考えが先に出ちゃうので、そこは日米で大きい差があるなと思います。」
「私が思ったのは、アメリカの高校生や大学生は、自分の将来について、日本の学生よりも具体的に計画を練っているなと思いました。現地の高校を訪れたとき、バディの子と将来のことについて話す機会があったんですけど、私の場合、将来の夢はあるけど、そのやりたい理由が少しあやふやだったり、本当にそれでいいのかという迷いがあったりするんですけど、出会ったバディの子は、将来のことについて即答してくれて、その理由も具体的に教えてくれて、そういうことがアメリカの大学生にはすごく多かったなと思います。日本では大学をまだ偏差値なんかで選ぶ文化があると思うんですけど、アメリカの学生たちは、この学部のこの教授に教えてもらいたいからこの大学を選んだみたいな具体的なものをもっていて、そこが一番大きな差だと思いました。それから、自分から話題をふらないと置いていかれるということです。私が日本人であるかどうかは全然関係なくて、どんどん話題は進んでいくから、自分から率先して意見とか考えとかを言わないと、もう蚊帳の外みたいな状態になると感じました。」
「日本よりも一つの物事に対して多方面から捉えるなと思いました。一番印象に残っているのは、デザインについて学ぶレクチャーの時です。私の友だちが教授に、デザインすることは好きだけど、建築士とかファッションデザイナーとか、デザインって使える幅が狭いですよね、と聞いたら、その教授は、デザインは何にでも使えるよ、例えば科学の世界でも、物質の構造をデザインとして捉えることもできるし、それを別のところに応用することもできる。だからデザインというのはファッションとかだけでなくて、たくさん多くのところで応用できる、とその教授は話していました。そういうふうに一つのものでも、いろいろな方向から見てみるということがすごく大事だと思いました。これから私も一つの着眼点からだけではなくて多方面から見て、大学に行ったときも、自分の学部だけでなくて他の要素も取り入れて見てみることを大切にしたいと思いました。」
「私が思ったのは、教授が一方的に、例えば教科書に書いてある知識なんかを学生に提供して、学生はそれを覚えるという授業ではなくて、学生との対話というのを大事にしているなと思いました。つまり学生の意見とかクリエイティブ性とかを教授たちが受けとめて、それで本来のテーマを深めたり広めたりしているなと感じました。その広めていく時に、あらゆる教科が自然とくっついてきて、日本で言えば総合系の学部みたいな学びをしているなと感じました。」
「アメリカに行く前はそこまで意識しなかったですし気づかなかったんですけど、YISにはボランティアとかやっている人も多くて、私はボランティアをやっているだけですごいなと考えていたんですけど、スタンフォード大学に行ったときに、案内してくれた大学生がいて、その方は高校生のときから自分は何がやりたいのか、どういう形で社会に貢献していけるのか、それをすごく考えていて、高校生のときからボランティアをしたのも、自分はこういう夢があるからそのステップとしてボランティアをしていたと話していました。ボランティアをするのであってもその目的を意識していると感じました。なので、社会問題への関心も日本人の学生と比べて高いなと感じて、そうした面でやはり日本の学生とアメリカの学生は大きな差があるんじゃないかな、と感じました。」
「私は7日間という、限られた短い時間だったんですけど、その中で、行く前と行った後でいかに自分を変えるか、ということを考えていました。最初は自分のしおりに自分の目標を書いていたんですけど、途中からそれだけじゃなくて、それを達成するにはもっともっと動かないといけないということを思いましたし、相手の話を聞いていても自分の努力が全然足りないんだなというのに気づかされました。なので、日本に帰ってきた後は、何事も中途半端にやるんじゃなくて、やると決めたらホントにやる、といった精神を貫かないと向こうの地では生きていけないな、と思いました。」
今回の米国カリフォルニア大学バークレー校での研修では、何をしたかだけでなく、何を考えたのかが大切であること、またその考えたことを通して自分がどう変わったのかが大切であること、そうしたことを参加した二人の生徒は話してくれました。学力向上進学重点校エントリー校の取組として、とても意味のある研修であったことをインタビューから感じました。
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