横浜国際高等学校 > 在校生・保護者の方へ > 校長だより(Vol.19)競技かるたを通して身に付けた力とは
更新日:2024年11月19日
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横浜国際高校競技かるた部は、今年5月に行われた第37回神奈川県高等学校小倉百人一首かるた選手権大会で、他の強豪校がいる中、見事一次予選を突破しました。また、8月に岐阜県で行われた全国高等学校総合文化祭・小倉百人一首かるた部門では、本校競技かるた部の生徒が、神奈川県の代表として活躍しました。今回は、競技かるた部の3年次生5名に競技かるたの魅力や競技かるたを通して身に付けた力などを聞いてみました。
「百人一首って100枚あるのですが、その中の50枚をランダムに取って、お互いに25枚ずつ自陣と敵陣というふうに2つの陣に並べます。その中で上の句が読まれて、それに対応する下の句を取るのですが、自分の陣の札を取った場合は札をそのまま自陣から外し、相手の陣の札を取った場合はその札を陣から外した上で自分の陣の札を1枚敵陣に送ります。このようにして自分の陣の札を先になくした方が勝ちとなります。」
「『ちはやふる』という百人一首を扱った漫画があるのですが、それを読んでいて、なんか自分でもできそうだなと思って入りました。また、この学校が国際色豊かで、英語とか第二外国語とかに触れる中で、あえて古典にも触れていたいなと思ったので百人一首を選びました。」
「私は『名探偵コナン』が好きなのですが、その中に『から紅のラブレター』という百人一首がメインテーマの映画があって、それを見て面白そうだなと思って入りました。」
「僕は高校1年のときに、何か部活に入りたいと思って、友だちとフラっと寄ったのが最初でした。僕の入学当時は大会に出るとか、そういう感じじゃなくて、部の雰囲気もゆるい感じで、とりあえずまぁ、かるた部でいいかぁ、みたいな感じで入りました(笑)。」
「私の場合、中学で小倉百人一首大会みたいなイベントがあって、そこで初めてかるたに触れました。それで、さっき出てきた『ちはやふる』や『名探偵コナン』といった漫画をとおして競技かるたという存在を知って、YISに入ってから、そういう部活があるなら入ろうかなというのが動機でした。」
「私は海外の日本人学校に通っていたのですが、そこで小学校のとき、百人一首に少し触れる機会があって、それからずっとかるた部に入りたいなと思っていて、それで入ったという感じです。」
「かるたをやるうえで、まず札を速く取るための集中力が必要ですし、それから、私は中学では運動部だったのですが、速くとるためには瞬発力を生かすことも必要で、そうした体力面も含めた総合的な力を鍛えることができて自分を高められることがかるたの魅力だと思います。」
「私は競技かるたの中で団体戦が好きなのですが、その理由は、全員が団結して勝利に向かって頑張るところです。身に付いた力は、一番は集中力かなと思っています。一音や一音にも満たないような小さい音を聴き分けるには、すごい集中力が必要なので、それが身に付いた力だと思います。」
「競技かるたの魅力のひとつは、他の競技と比べて大会数が多いことです。全国にもいくつかありますし、関東だけでも1年間で5~6回出ることができるので、自分が努力した分、結果に出やすいというのが一番の魅力かなと思います。身に付いた力は、精神的なメンタルの部分かなと思います。どんな場面でも相手に負けないように頑張んなきゃ、と自分を鼓舞する力です。大会によっては圧を感じる大人の人とか(笑)、逆にこんな小さい子と?みたいな小学生とかを相手にすることもあって、そういう精神が不安定になりやすい競技だからこそ、メンタル面が一番鍛えられると思います。」
「私の場合、競技かるたの魅力は、努力とか、そういう自分の成長を感じられる競技だということです。最初は札を全然覚えられていないし、うまく取ることが全然できないんです。でも、何か月も練習をしていって、そうするとちゃんと取れるようになったな、とか、実感がすごくわいてくるんです。そういうところが結構魅力なのかなと思います。身に付いたものは、集中力とか・・・。私の場合、運動オンチだったりするので、持続力みたいなものが身に付いたなと思います。」
「競技かるたの魅力は人と関わることが多いところです。団体戦は5人並んで試合をして、試合の中で掛け声なんかもあったりするので、そういう部分で精神的にお互い支えられているというのは魅力だと思いますし、個人戦も対戦した相手と会話して自分たちを高めあっていくという場面があったり、人との関わりというのが他の競技より重要視されるかなと思っていて、そこが魅力だなと思います。」
「自分が取ったか相手が取ったかわからないという曖昧な状況を作り出してしまったというのが反省点になるので、自分が取ったと言い切れないことを反省し、そこはお互いに譲り合って、ということがよく言われます。」
「相手との駆け引きも競技性のひとつだと思います。よく自分が思うのは、さっき譲ったのだから今度はそっちが譲れよ、みたいなこともあるし(一同笑い)、あるいは、相手は絶対に譲らないからもう話すのをやめよう、くらいに割り切って試合をするときもあります。そういうことも含めて競技性のひとつなので、そういうところで不満に思わないようにと自分の中で思うようにしています。」
「話し合いが結構長引いてしまうと、その後の精神状態に影響が出てしまったりして、結局負けちゃったということがあったりするので、そういうことがないように、相手が引かないなと思ったら、自分から、あっ、もうどうぞ、みたいなことはありますね。」
「かるたは集中力だったり体力だったり、さまざまなことが問われる競技なのですが、それは言い換えれば、自分が持っているどんな力でも逆に生かすことができるということです。なので、今までかるたを経験してなくても、どんな人でも向いているスポーツだと思うので、そこがみんなに勧めたい点です。」
「私はどちらかと言うと、百首覚えないといけないし、ルールも面倒くさいし(笑)、垣根が高いというかハードルが高いもの、というイメージがありました。でも、実際やってみるとそんなことはなくて、あまり覚えるのが得意じゃなくても、やっていれば百首は覚えられたし、ルールも身に付いたので、あまり臆せずにやってみよう!(一同笑い)」
「かるたは楽しいから始めてみてください。強くなりたかったら自分がメチャメチャ教えます(笑)。」
「かるたは難しいこともたくさんあって、簡単には始められない人もいると思うんですけど、でも競技を始めて思うのが、楽しいなと思う瞬間がすごくあるんです。そういうことを踏まえて、結構楽しくできるので気軽に挑戦してみてほしいなと思います。」
「競技をやる上で、どんなに努力しても結果が出ないことはあるし、逆にすぐ結果が出る人もいるし、そういうのはマチマチだと思うのです。そこでやり続ける忍耐みたいなものが絶対かるたでは必要だと思っていて、そういう力というのは、あまり競技かるたを外部から見たときにはわからないものだと思うのですが、瞬発力とか運動神経とか、それだけじゃなくて、メンタル面でも成長できるので是非やってみてほしいなと思います。」
生徒たちは、競技かるたを通して、集中力や瞬発力など、メンタル面も含めた総合的な力を身に付けることができたと話してくれました。それは言い換えれば、自分の持っているどんな力も、競技かるたに生かすことができるんです、と話してくれたことも印象的でした。第三者としての審判がいない中で試合が進む競技かるた。一人ひとりが、自分と向き合い、相手と向き合い、そして百人一首そのものと向き合いながら、競技かるたの魅力を感じているように思いました。
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