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更新日:2024年9月30日

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校長だより

Vol.17【弓道の魅力とは ~横浜国際高校弓道部の部員に聞く~】(令和6年8月27日)

横浜国際高校(YIS)の弓道部は、弓で矢を射て的にあてる一連の所作を通じて、「真善美」を追求する弓道の世界に向き合って活動しています。今回は、部員同士お互いに切磋琢磨して高め合い、心身の鍛錬に日々励んでいる弓道部の部長と副部長の生徒にインタビューしました。

はじめに、弓道部に入部したきっかけや理由を教えてください。

「私は中学ではバレーボール部に入っていましたが、高校ではまた一味違った新しいことをしたいと思っていました。そういう中で弓道部を選んだのは、一つは、弓道では指の先まで意識するところがあるんですけど、その洗練された立ち姿がカッコいいなと思ったからです。もう一つは、弓道は武道なので、武道を経験することで、正しい礼儀とか姿勢を学ぶことができると思ったからです。」

「中学では美術部でしたが、高校になったら運動部に入りたいと思っていました。その理由は、運動部に入ることで、文化部では味わえない別のことが伸ばせると思ったからです。そしてYISという国際科の高校に入るにあたって、国際的なことを学びながら日本文化にも深く触れてみたいと考えました。日本文化に触れることで、海外の人たちが留学などでYISに来たとき、交流のきっかけになると思いました。」

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弓道の魅力は何ですか。

「弓道の魅力の一つは武道としての礼儀です。もう一つは、個人競技と思われがちなんですけど、仲間と精神的な協力ができることだと思います。礼儀については、日本独自の立ち方とか、並び方とか、歩き方まで意識するところがあって、それは体全体を集中させないといけないことで、そこに日本らしさを感じるのが魅力だと思います。それから、弓道ってメンタルが結構大きく関わっていて、私は部内でも緊張しちゃう方なんですけど、大会前とかになると部の仲間の存在がとても大きくて、すごく緊張していても、みんなが大丈夫だよって言って励ましてくれることが結構自分の中では大きいので、弓道って個人だけじゃないなと思います。」

「私が思う弓道の魅力の一つは歴史的な趣のようなものです。弓を引く姿を射形(しゃけい)というんですけど、それが人によって十人十色なところがあって素敵だなと思います。そして、昔からある武道が少しずつ形を変えながら現代まで残っていることに伝統を感じます。少し話が外れるんですけど、夏休み中にグローバル・イングリッシュ・キャンプというのに参加したんですが、そこで外国の大学生に弓道の紹介をしたら、日本に弓道のような歴史的スポーツがあるというのはとても魅力的なことだと言われて、やっぱりそういうことってあるんだなと思いました。もうひとつ、弓道では、射形のちょっとした違い、例えば腕の位置が何ミリかでも違ったら、全然違う方向に矢が行ったりします。二度と同じ射(しゃ)ができないところに「儚さ(はかなさ)」があって、それもいいなと思っています。弓道は個人戦的なところがあるんですけど、唯一、作法(さほう)だけは一緒で、みんな同じように行うところがいいなと思います。あとは、矢を放ったときの音を弦音(つるね)というんですけど、その弦音というのは、他の楽器とかでは出せない、弓道における唯一無二の音で、それも大変魅力的だと思います。その弦音も人によって十人十色の音があって、そういうのも素敵だなと思っています。それから、アニメで『ツルネ』というのがあるんですけど、高校の弓道部を舞台にしたもので、弓道をとおした友情や青春が描かれていて、それもいいなと思います。」

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横浜国際の弓道部の特徴とこれからの目標を教えてください。

「横浜国際はとても自由度が高い学校で、弓道部もあまりしばりはなくて、髪の色は何色でも大丈夫だし、服も私服のままでいいんですけど、大会とか道場の練習に行くときは、ちゃんとみんなメリハリをつけられるというところが、うちの弓道部の一番大きな特徴だと思います。道場練習とか試合があるときは、髪の毛が明るいとダメなので黒染めスプレーとか使って武道のルールにちゃんと合うようにみんなしっかりやっていると思います。」

「YISの弓道部はフレンドリーな人が多くて、先輩後輩の上下関係がなく、仲が良くて和気あいあいとした雰囲気が魅力だと思います。ただ和気あいあいとした中でも、大会とか段審査がある前などは、しっかり真面目に取り組んでメリハリがあります。それから、大会のときなどは、励ましあったり、まるで家族のような団結力があったりするのも魅力です。誰かがうまくいったときに、みんなが喜びを分かち合うというところもすごくいいなと思います。今後の目標としては、大会では団体で2回戦出場、もしくは入賞をめざして頑張りたいですけど、そうした大きな目標に行くまでの間で、個人の射というものについて自分の中で納得いく美しい射を極める、そうしたことを目標にしたいと思っています。」

 

横浜国際高校の受検を考えている中学生に一言メッセージをお願いします。

「横浜国際の入学を考えている中学生は、とりあえず頑張ってほしいと思っています。英語が重視されているから英語を頑張ってほしいですけど、他の科目も大事だと思います。」

「受検の年って、途中で、自分ってもうだめかもしれないって挫折を覚えるような経験が誰でもあると思うんですけど、自分は試験当日に1時間目の英語が思うようにできなくて、そのとき、あぁだめかも、って撃沈したんですけど、とりあえず、自分が今までしてきた努力を出し尽くして後悔がないようにしたいと考えて、とにかく英語の後の科目を全力でやった結果、合格をいただけました。なので、伝えたいこととしては、とにかく最後まで全力を尽くして後悔がないようにしてほしいということです。そしてもしできれば、YISの弓道部でお会いしたいと思います。」

 

弓道の世界にある形や型には、その形や型に込められた想いのようなものがあることを語ってくれました。同時に、一人ひとりが異なる射形や弦音を持っていて、そして一人の中の射にも毎回同じ射はなく、そこに趣や儚さがあって、弓道の魅力になっていることを教えてくれました。これからも部としての目標と個人としての目標を両方持ちながら、弓道の世界に向き合っていってほしいと思います。

 

 

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