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更新日:2025年1月20日

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校長だより

Vol.21 【国際バカロレアの最終試験を終えて ~IBコース3年次生に聞く~】(令和6年12月23日)

横浜国際高校(YIS)の国際バカロレア(IB)コースでは、国際的に認められている大学入学資格(IBディプロマ資格)の取得をめざします。11月8日、2週間に及ぶ最終試験(世界共通で行われる国際バカロレア最終試験)が終わりました。今回はIBの二人の3年次生にDP(ディプロマ・プログラム)の最終試験を終えた今の気持ちを中心に話を聞きました。

はじめに、最終試験を終えて結果がわかった今の気持ちを教えてください。

「正真正銘IBが終わった、という感じで肩の荷が下りた思いです。スコアを見て正直もうちょっと頑張れたなぁという部分もあるのですが、そういうくやしさよりも、このクラスの人たちと今まで一緒に頑張れて良かったなという気持ちです。」

「僕は最終試験が終わったことやスコアが出たことにあまり実感がわいてなくて、今まで最終試験という大きな目標があったのに、わりとあっけなくここまで来ちゃったなという感じがしています。でも、ここまで2年・3年と過ごしてきたことを考えると、終わったことはホッとしています。」

最終試験に向けてどのような気持ちで臨みましたか。

「私はすごく緊張しやすくて、めちゃくちゃ緊張していたので、覚悟が決まっていたわけではなくて、やってやるぞ!というよりかは、あぁ、やばいやばいとか思いながら一日一日過ごして、覚悟が決まるということは最後までなかったです(笑)。私は最終試験中に日本の大学の入試があったので、とにかく体調第一で、体調を崩さないようにしようと考えていました。私は日本の大学もカナダの大学も受けようとしていて、日本の大学はIB最終試験中に行われる入試で合否が決まりますが、カナダの大学はIBのスコアで決まるので、どちらも手が抜けないといった状況でした。」

「僕は2年の時とか、MOCK(模擬試験)の段階で、志望校に向けてめざすスコアは足りていたことと、それから、IBは2年・3年かけての長期戦なので、最終試験直前だからといって、特に気合を入れて勉強しなきゃ、みたいなことはありませんでした。むしろ、平常心を保って、いつも通りに勉強して、いつも通りテストが受けられたら、それが自分の本当の結果につながると思っていたので、わりと落ち着いていた方かなと思います。」

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横浜国際高校のIBコースに入学してから今日までの3年間を振り返って、自分にどのような力が身に付いたと思いますか。

「勉強面では批判的思考力とか、物事を多角的に見る力が身に付いたと思います。コア科目のようなIBに特徴的な科目でもそうですし、日々の授業とかでも、いろいろな面から物事を見る力が付いたと思います。勉強以外の人間的な面では、いろいろな課題がある中で、自己管理力が上がったと思います。自分の限られた時間の中でベストを尽くして、課題をやったり勉強したりする、そういう力が付いたと思います。もう一つ、私は高校に入学する前は本当にすごく完璧主義で、全部100点じゃなきゃいけないとか、クラスで常に一番でなくちゃいけないみたいな、そういう気持ちが強かったのですが、IBが始まるとそんなに現実は甘くないじゃないですか(笑)。全部で満点なんて取ったらすごいレベルなわけで、だから、IBが始まって、完璧じゃない自分の部分を許せるようになりました。苦しい完璧主義をやめられたというのが、自分にとっては良かったと思います。」

「最初にYISのIBに入って、1年目と2年目くらいまでは、今まで過ごしてきた中学校の価値観とか、親や身近な人たちの価値観とかに自分も属していたのですが、IBの勉強を進めていく中で、今までに自分が属していた価値観から少しずつ独立していくというか、YISのIBの中と今までの地元の輪の中と、それぞれ違う異なる視点から物事を見つめることができるようになった気がします。最近3年生になってから思うことは、3年間同じクラスで過ごす中で、最初の2年目までは、クラスの価値観に自分も同化しているという部分があったのですが、3年目になって、批判的な学びを深めるというIBの学びの影響もあると思うのですが、クラスメイトとか、学校の中にいる他の人の価値観からもどんどん自分が独立していって、ある意味で自分の個性みたいなものが育ってきたように思います。また、自分が社会から見てどういうことが必要とされどのような人間になってほしいのかということと、自分が本当に何をしたいのかということと、その2つをどのように折り合いをつけて自分というものをつくっていくのか、そうしたことを3年間で学んだと思います。」

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来年度以降、最終試験を受ける2年次生や1年次生にメッセージをお願いします。

「IBにせよ、最終試験にせよ、IA(内部評価)とか日々の課題にせよ、すべて始まれば終わります(笑)。必ず終わるときが来るので、水のように流れていってほしいです(一同笑)。もちろん、自分を追い込んで、自分を奮い立たせて頑張ることも大事ですけど、必ず終わりが来るから、そんなに悲観的にならずに、これは自分自身の教訓でもあるのですが、そんなに自分の現状とかに批判的に悲しくならずに程よく受け流していくことも大切だと思います。IBは3年間クラスも一緒だし、やはり助け合いがとても大事だなと思います。だからクラスの人や周りの人と支え合って、先輩とか後輩とかにも頼って、時にはインターネットで全世界のIB生にも助けを求めたり悩みを共有したりして、支え合ってがんばってほしいと思います。」

「自分の最終試験の結果を見てすごく感じることがあって、ディプロマ・プログラムって、12月のこの時期まで結果がまったくわからないというのが他の資格と大きく違うところだと思います。最終試験まで、自分のやってきたことが100%良かったとか100%悪かったとか、そういうことって絶対に言えないのではないかと思います。だからこそ、その場その場で、自分が出せる最大限のパフォーマンスを出して、未来の自分がその時の自分を見たときに、この頃の自分としては許してあげられるかな(笑)という感じでパフォーマンスを出していくことが大事だと思います。上の方を見つめちゃうとIBってすごい世界だから、本当に上には上がいます。でも、最終試験までの時間はみんな同じで有限だし、自分の健康のこともあるので、ずっと100%出し続けないといけないというのではなく、限られた時間の中で効率よく物事を進めていける方法というのを探していく、そうすると心身ともに健康も維持できて、結果も出てくるんじゃないかなと思います。それがいちばん伝えたいことです。」

 

最後に、横浜国際高校のIBコースをめざしている中学生に一言お願いします。

「私は中学3年生のときに、IBと聞いて、かっこいい!と思って(笑)、けっこうそういう安直な気持ちで国際バカロレアコースを受検しました。実際にIBを終えて、いろいろと辛いことや苦しいことを乗り越えてきて、いまの自分に後悔はないです。最初のとっかかりが、IBかっこいい!とか、海外大学行きたい!とか、そういうフィーリング的なことでもいいので、飛び込んでいく価値があるのがIBだと思います。」

「勉強が好きだったらIBは楽しいと思います。特にYISに入ってからはいろいろな人と関わることが増えて、いろいろな考えをもつ人がいて、そのいろいろな考えがあることを知ることができる選択肢がIBだと感じます。それから、日本の中学校・高校では最終的な目的地が日本の大学に行くことにあるように思うのですが、世界193ヶ国ある中で、日本の大学に行くというのは、その193分の1の選択でしかありません。自分がこれから勉強していく国や場所はどこがいいのか、それを考える種をまいてくれるのがIBだと思います。そして、勉強が楽しいとか何か自分の好きなことを追求していくことが楽しいとか、そういう人にIBはおすすめだと思います。」

今年度は例年より早く12月中旬に最終試験の結果が出ました。IBコースに入学してから最終試験までの道のりを振り返ってもらいましたが、これから後に続く2年次生、1年次生にとって、とても参考になるいくつかの言葉を話してくれました。完璧でない自分を許して苦しい完璧主義から脱すること、自分の現状に悲観的になり過ぎずにその場その場でできるパフォーマンスを大切にすること、社会が自分に求めていることと自分がなりたい自分との間で折り合う点を探していくこと等々。最終試験を終えたIB3年次生には、これから再び、自分の未知なる領域の開拓に向けて歩みを踏み出してほしいと思います。

 

 

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