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更新日:2023年12月18日

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校長だより

Vol.8【即興型英語ディベート交流大会の参加者にインタビュー ~ 英語ディベートの先に見えるもの ~ 】(令和5年11月28日)

11月3日(金曜日)、学力向上進学重点校及び同エントリー校18校の生徒たちによる「PDA神奈川県高等学校即興型英語ディベート交流大会」が横浜平沼高校で行われ、横浜国際高校は、昨年度に続き、第1位となりました(第2位:湘南、第3位:横浜翠嵐、第4位:相模原、第5位:鎌倉)。個人賞の部門でも、ベストディベーター賞、エキシビションディベーター賞、ベストPOI賞(Point of Information:質疑応答・コメント等)で、複数のYIS生が見事受賞をしました。今回は参加した生徒へのインタビューを紹介します。

PDA即興型英語ディベートは、その場で論題が与えられ、肯定側チーム(Government)と否定側チーム(Opposition)に分かれ、ジャッジを説得します。肯定側か否定側かは主催者が決めるのでディベーターは選ぶことができません。議論の内容や説明の仕方など、より説得力があったチームが勝ちとなります。

大会当日は、3ラウンドが行われ、それぞれの論題は次のとおりでした。

ラウンド1:Online shopping is better than going shopping.

ラウンド2:Japan should increase the number of immigrants.

ラウンド3:Japan should legalize ride-sharing businesses.

 

はじめに、ディベート大会を終えての感想を聞かせてください。

「私たちは1年の頃から授業でディベートの経験をしていて、今回の大会は、授業の一環という感じでした。一方で、他校の生徒たちは、委員会とか部活から出てきていて、今回の大会を目標に頑張ってきた熱意のようなものが感じられて、その意気込みに圧倒されました。」

「他校の生徒は、委員会や部活でこんなに熱心に英語を勉強しているんだなぁと思いました。そして、この大会を目標に頑張ってきたということを知って興味深く感じました。」

「私たちは他の学校とはちょっと雰囲気が違って、日々の授業の延長で、軽い気持ちでいたので、周りの学校が毎日夜7時頃まで練習していたと聞いて、すごく不安で、しかも去年の先輩たちが優勝していたので、返還したトロフィーを絶対取り戻したいという気持ちが強くて、緊張したけれど無事勝てて嬉しかったです。」

エキシビションディベート

エキシビションディベート

今回のインタビューでは、3つのラウンドに参加したチームの中から1名ずつ代表者に来てもらいました。3ラウンドすべてに勝ちましたが、勝因はそれぞれどこにあったと思いますか。

「私はラウンド1に出てOpposition(否定)側でしたが、相手にRefute(反駁)するとき、オンラインショッピングでは、輸送するときの商品の安全性や商品の品質はどれだけ保証されるのかについて指摘し、その論点が良かったと思っています。それから、相手が言っていることを頭の中でイメージして、映像みたいにして、その映像の中で、ここを攻めたらいいかなと考えRefuteしました。」

「私はラウンド2で、Government(肯定)側でしたが、日ごろ授業で先生によく言われるのは、Signpost(肯定・否定の理由のポイント)を2つ決めて、その2つについて順序立てて話し、その内容が最後にまとまっていなければならないということです。論題が与えられてから考える15分の間で、頭に思い浮かぶすべてのことを取り上げて、あれも言わなくては、これも言わなくては、と考えていたら、まとまらなくなってしまいます。それに今回はトピックが「移民を増やすべきか」という難しい内容だったので、とても焦ったのですが、なおさら、基本的なSignpostを2つ、家の土台として作って、その上に屋根(まとめ)をかけるという授業での知識がとても役に立ちました。ジャッジの先生からも、論理構造とまとめがしっかりしていて、とても良かったと講評してもらいました。授業でやったことが焦る中であっても無意識にできたと思います。」

「私はラウンド3に出て、Government(肯定)側だったんですけど、対戦した学校がとても強い学校で、前回の練習ラウンドで唯一負けてしまった学校だったので、負けたくないという気持ちが強くありました。なので、気持ちの面で気合いを入れて頑張ったのが良かったと思います。それに、準備の15分では、向こうが何を言ってくるか予想して、反論もちゃんと考えてから挑めたのも良かったと思います。」

表彰式 

表彰式

今回のディベート大会で最も緊張する場面はどんなときでしたか。また、ディベーターとして、いちばんうまく話せたと思う場面を教えてください。

「私がもっとも緊張した場面はやはりエキシビションディベーター賞に選ばれて、全員の前で行ったエキシビションです。あれは本当に心臓に悪かったなと思うくらい緊張しました(笑)。ふだんのディベートでは同じ学校の知った仲間と行いますが、エキシビションでは知らない人とチームを組むので緊張しました。緊張する中でも自分なりに頑張ったのが、準備の15分です。知らない人とのチームでコミュニケーションを図ろうと思い、いろいろ作戦を提案したりしました。授業を通して、ディベートの形が脳内に埋め込まれていて、こういう場面はこう言えばいいみたいなことがわかってきていて、それが緊張を和らげることにつながりました。」

「一番緊張したのは、最後のまとめを担当したときに、移民受け入れのGovernment(肯定)側として、「移民受け入れは先進国で進んでいて、もう国際的な基準になっているのだから、それに従うべきだ。」と言ったんです。私はもうこれでいけた! これで決めた!と思ったんです(笑)。そうしたら、そこで相手側からPOIをされて、「先進国でなされることがすべて正しいとは限らない。」と言われて、私、もう頭が真っ白になって、固まってしまって、そこからの記憶が全然ないんです(笑)。1つ覚えているのが、I agree.(ああ、そうですね。)と言ってしまったんです(笑)。そうなんです。譲歩しちゃって(笑)。そこで弱みを見せてしまったところが緊張のピークでした(笑)。そこからもう記憶がないんですけど、パニックになりながらも、友達によれば、私は「先進国に準ずることで、良い結果が得られなくても、国際的な基準に従うことで先進国から助けてもらえるかもしれない、つながりが強化されるかもしれない」と言ったらしいんです(笑)。無意識なんですが、そう言えたみたいなんです。やはり、授業でずっとそういう場面に触れてきたからこそ、そこでパッと切り返せた。そこがもう私、とても安心したところで、あとでジャッジの先生からも、あの切り返しは良かったと言ってもらえたんです。記憶がないんだけれども切り返せて(笑)、みんなも良かった良かったと言ってくれて、みんな嘘をついているんじゃないかと半信半疑でした(笑)。そんなふうに、無意識に自分の持っている知識を絞り出して、そこで言うことができたというのは、とてもいいことだったと思っています。」

「私たちのチームがいちばん緊張した場面はディベートの直前でした。本当にいちばん当たりたくなかった強い相手に当たっちゃって(笑)、しかも、1チーム目と2チーム目のみんなが勝ってくれて、私たち3チーム目の勝敗が優勝につながるというプレッシャーですごく緊張しました。私は最後のまとめをしたんですけど、ジャッジの先生にすごくほめていただいて、チームの他の2人がしっかり反応してくれて、私が考えている間に2人がPOIとかしてくれて、それが良かったと思っています。」

 

チームYISのメンバー

大会を終えて記念撮影

 

ディベートも含めて、これからの英語の学びで目標にしていることを教えてください。

「私は英語を話すことで人生の新しいチャンスが増えると思っています。これからも英語を通じて経験を深めていきたいと思います。」

「私はこのディベートをやっていて、つくづく思うのは基礎教養がすごく大事だと思うことです。1年生の頃は犬猫どっち派?みたいなレベルだったんですけど(笑)、2年生になると、移民の受け入れとかライドシェアリングとか、自分の基礎知識がとても求められるなと思いました。準備の15分では携帯も使えないので、ホント自分の地頭が勝敗を決めるみたいなところがあります。日ごろから常にいろんなことを勉強して、世界でどんなことが起きているかを勉強して、そして、そうした難しいことも英語で言えるようになりたいと思います。」

「私は帰国子女というのもあって、いますごく英語の勉強に打ち込んでいるわけでもないんですけど、これからは、みずから英語力を伸ばして、YIS内だけじゃなくて、社会に出ても通用する英語力を身につけられるようにしていきたいと思っています。」

 

生徒たちは、即興型英語ディベートを通して、英語の力だけでなく、緊張した場面でいかに冷静に対応できるかなど、社会に出てから幅広く必要とされる力を身につけてくれているように感じました。これからも英語の学びを通じて、国際社会で活躍するための総合的な教養を身につけていってほしいと思います。

 

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