まゆ先生のザンビアうるるんにっき25

“Hakuna matata!”（ハクナマタタ／“大丈夫だよ”（スワヒリ語））
人生で初めて寄生虫と共生した川井です（今は薬によって、無事お別れしました）。

メヘバの最終回、キャンプに暮らす人々と、キャンプを支援するAAR Japan（難民を助ける会）の方から伺った話を中心に、キャンプの中にあるものについて、お話したいと思います。

キャンプの中にあるもの

キャンプと聞くと、テント暮らしや、食料の配給に殺到する人々…というイメージを持つ人もいるかもしれません（私はそう思っていました）。

では、メヘバはどうでしょうか？

キャンプ内には、一般的な家が並び、ザンビアの街並みとあまり変わりありません。
「コンゴ難民の家は、アンゴラ元難民が建ててくれた」というように、生活に必要な様々なことが、キャンプ内でまかなわれています。
さらに、多くの家の屋根にはソーラーパネルがあるので、電気も通っています（私の住んでいる首都ルサカより電気がありました）。
水は地下水で、掘れば出ると言われるぐらい水量も豊富なようです。市場には新鮮な野菜や米、パーム油、果物、鶏、豚などに加え、お菓子、衣類、日用品などが揃っています。
敷地が広いので、数が多いとは言えませんが、学校・病院・教会・農場と一通り生活に必要なものが整っており、ほとんどの人はキャンプ内で仕事をしています。

中学校より上の学校がないこと、将来の見通しが立てにくいこと、支援が十分ではないことなど課題はたくさんありますが、正直、首都のコンパウンドより、ずっと住みやすい土地ではないかと思ってしまいました。

 

今回、かつてキャンプ内で活動していた隊員の方の紹介により、キャンプ内の施設をいくつか見学することができました。
訪問させてもらった施設の中から、3つほど紹介したいと思います。

 

1つ目、トランジット・センター。

自国を逃れた人々が最初に訪れるザンビア政府の施設です。難民として認定されるまでの数日～数ヶ月の間、過ごします。
施設には、2段ベッドがずらりと並ぶ宿泊棟が男子棟・女子棟とあり、夫婦と言えど別々に寝ます。
また、母国で心に傷を負った人のためのメンタルヘルスの施設もあります。

近くのグラウンドでサッカーの試合をしていたこともあってか、私たちが訪れた時に、施設内に人はあまりいませんでした。
バウラー（七輪）でシマをつくっている家族がいて、新しい土地に移ってきた人たちの穏やかな時間を感じました。

 

2つ目、孤児院。

様々な理由で家族と暮らせなくなった子ども達30人強が暮らす施設です。
後程紹介するAARジャパンが建設し、現在はUNHCRによって運営されています。

難民・元難民に限らずザンビアの孤児もいるなど国籍は様々です。
施設には2人の先生がいます。今回は、子ども達と一緒に紙飛行機をつくって飛ばし、交流を深めました。
訪問に際して、コンゴ難民の方から「おみやげとして鶏を持っていくと良いよ。」とアドバイスをもらったので、市場で生きた鶏を2羽買って持っていきました。日本ではなかなか考えられないおみやげに、アフリカらしい文化をまた一つ学びました。

 

3つ目、AAR Japan（難民を助ける会）。

こちらは日本の支援団体です。

現在、メヘバに入っている支援団体はそれほど多くありません。
その中で、AAR Japanは、20年以上にわたりキャンプを支援しており、先ほどの孤児院の設立に加え、インフラ整備（水道管を鉄パイプからプラスチックに変える工事）、中学校の設立や識字教育、教員トレーニングなどを実施しています。
お話を伺う中で、私の想像と特に異なっていたのが、識字教育です。識字教室に参加する人のうち非識字率（読み書きができない人の割合）は3割程度で、読み書きより、英語を学ぶことで仕事の幅を広げたいという人が多いというのです。

次のステップを見据えた取り組みに、難民キャンプの過去・現在・未来を見たようでした。

 

今回メヘバを訪れて、どんな環境にあっても、より良く生きるために協力し、挑み続ける人々の想像を超える生命の強さを感じました。

すべての難民キャンプがこのような状況ではありませんし、難民が生まれない世界になることが一番の理想です。
ただ、「難民が生まれてしまう世界で、どのように共に生きていくのか？」…この課題を考える上で、私たちがメヘバから学ぶことは決して少なくはないと思いました。

 

（2024年9月30日川井真由）

 

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