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更新日:2024年1月26日
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川井真由先生は、神奈川県から推薦を受けて、令和5年4月からJICA(国際協力機構)の青年海外協力隊の一員として、ザンビア共和国に派遣されています。
Mukhala bwanji? (ムカーラブワンジどのように過ごしていますか?)
雨季真っただ中のザンビアで、洗濯物を外に干すことに抵抗がなくなっている川井です。(いつかは晴れると信じて。)
以前、「うるるんにっき9」で、すべての学校の始まる日と終わる日は、国によって決められているということを書きました。
2024年度の1学期は1月8日から始まることになっていました。今日は1月22日です。しかし、まだ新学期は始まりません。なぜなら、年明け早々、国が学校の始まりを3週間遅らせると発表したのです。
その理由は、首都ルサカを中心に広がっているコレラの大流行です。
コレラは細菌性の感染症で、コレラ菌に汚染された水や食料を摂取することにより感染します。病原性は弱く、死亡率は2%です(厚生労働省検疫所HPより引用)。ザンビアでは1月17日時点で10,413人が感染し、412人が亡くなっています(データは国営放送(日本のNHK)より)。
コレラを予防するには、「汚染された水を口にしない」ことです。生水はよく沸かす、食べ物はきれいな水でよく洗い火を通す、手を石けんで洗う、そういった基本的なことで予防できます。
しかし、首都ルサカでは毎年のように雨季にコレラが流行しています。今年の大流行においても、9割は首都ルサカで起きています。
なぜでしょう?
「うるるんにっき4」で、コンパウンド(都市スラム)のことを説明しました。
ザンビアでは、都市人口のおよそ70%がコンパウンドで暮らしています。
このコンパウンド、衛生環境が良くありません。道の至る所にゴミが捨てられています。汲み取り式のトイレ(いわゆる「ぼっとん便所」)では、排せつ物を汲み取るのにお金がかかる、道が狭くてバキュームカーが入ってこられない等の理由で、排せつ物が汲み取られないままになっています。
その排せつ物が雨季の洪水によって溢れてしまうのです。
「うるるんにっき10」で、校舎の移転計画の話をしました。
移転先を探すため、コンパウンドの空き家を見に行った際、私は大きな衝撃を受けました。それは、家中に広がるゴミ、ゴミ、ゴミ。日本と比べると、路上のゴミも圧倒的に多いのですが、空き家に放置されたゴミの量とにおいは今まで経験したことのないものでした。
雨季は大量の雨が降ります。ゴミはどうなってしまうでしょうか?
そのような環境なので、水道や井戸の水も汚染されてしまいます。また、お湯を沸かすにも電気ポットのある家なんてほとんどないので、木炭コンロに火を付けるところから始まります。
このように、「汚染された水を口にしない」ことが難しい環境、それが首都ルサカのコンパウンドです。
政府も様々な対策をしています。公共のウォータータンクの設置、汲み取り式トイレの排せつ物の汲み取り、コレラ患者を受け入れるセンターの設置、コレラワクチンの提供など、衛生環境を改善する活動や医療体制の充実といったことが行われています。また、その他に、お葬式の制限や路上販売の制限など、生活に影響が出る対策も行われています。
BBCには、「(ザンビアの)ヒチレマ大統領が人々に村に移住するように促す」という見出しの記事が出ています(https://www.bbc.com/news/world-africa-67931876(外部サイトへリンク))。
コレラに限らず、感染症と都市問題は切り離せない問題です。でも、突然、村に移住しろと言われて、あなたは生活できますか?
さて、向陽館では卒業生はまもなく計画登校の時期ですね。年始に卒業生から進路の報告を受けて、在学中から色々と奮闘していた彼女の頑張りが実を結んだこと、とても感慨深く感じました。(私もですが、)今うまくいっていない人も、いつかは実を結ぶと信じて。
(2024年1月22日川井真由)