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更新日:2023年12月1日
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川井真由先生は、神奈川県から推薦を受けて、令和5年4月からJICA(国際協力機構)の青年海外協力隊の一員として、ザンビア共和国に派遣されています。
“Mwapunsira bwanji?”(ムワプンジーラブワンジ)
11月、向陽館では後期中間試験がありましたが、こちらは3学期期末試験です。園児向けテストの作成と採点を担当している川井です。(この3月まで高校の教員をしていた記憶が…。)
今回は、アフリカの便利な布・チテンゲについてです。
日本で「伝統的な服」というと何がありますか?また、その服は皆さんが「日常的に着る服」でしょうか?
「伝統的な服」を考えると、着物、浴衣、袴などが思い浮かびます。でも、それが「日常的に着る服」かと聞かれると、「晴れ着」という言葉があるように、「ハレの日」、言い換えれば、「特別な日」に着る「非日常的な服」かもしれません。
ザンビアでは、伝統的かつ日常的な衣服として、チテンゲがあります。(布自体をチテンゲと言いますが、その布でできた衣服もチテンゲと呼びます。)これはザンビアだけでなく、アフリカの多くの国で見られる衣服で、布には派手な柄や色がプリントされています。
布は1ヤード(約91cm)×6ヤード(約5.5メートル)の大きさでお店に並んでおり、2ヤード単位で購入します。(2メートルと言う時もあります。)価格は色々ありますが、安いものだと2ヤード20クワチャ(約130円)です。
このチテンゲとっても便利なので、活用法をいくつか紹介します。
チテンゲの活用法・その1「衣服」。
まずは基本の使い方です。2ヤードの布は、そのまま腰に巻くとスカート代わりになります。ザンビアでは、チテンゲを腰に巻いている女性をよく見ます。
そのままでも十分良いのですが、布を仕立屋さんに持っていくと、Tシャツやスカート、ワンピースなどオーダーメードの服に作り変えてくれます。仕立屋さんのセンスと技術が光ります。
活用法・その2「おんぶひも(抱っこひも)」。
前回のうるるんでも話しましたが、ザンビアには子どもがたくさんいます。
子育て中のお母さん達は、この布をおんぶひもにして子どもを背負ったり、車内では抱っこひもにして子どもを前に抱えています。チテンゲで赤ちゃんを背負って学校に行く小学生を見たこともありました。まるで「おしん」の世界のようですね。(伝わるかな?)
*注釈おしん:
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活用法・その3「敷物」。
外でごはんを食べる時、子どもが床で寝る時などは、敷物として活用されます。チテンゲは柄も色も派手で、汚れが目立ちにくいのも特徴です。おんぶひものチテンゲを敷物にして、帰る時は敷物をおんぶひもに変えて、と場面に応じて使い方を変えることができるのです。
活用法・その4「エプロン」。
その3と似ていますが、汚れが目立たないので、エプロン替わりにも使えます。女性がチテンゲを巻いて料理や洗濯、掃除をする姿をよく見かけます。
チテンゲは育児・家事をする女性に欠かせないもののようです。
活用法・その5「礼服」。
チテンゲは日常的に着ていますが、正装としても着られます。学校によっては、女性の先生はスカートまたはチテンゲを着てくるように言われることがあるようです。
そして、何より、私が一番驚きだったのは、お葬式にも着ていくということ!派手な色や柄の服を着てお葬式に行くというのは、日本だとなかなか想像できませんが、ザンビアでは当たり前の光景です。
冠婚葬祭に活用できる日常的かつ伝統的な服、それがチテンゲなのです。
これらの活用法以外にも、頭に巻いて帽子(頭巾)にしたり、踊る時の腰布(帯)として使うこともあります。(子どもが踊っていた時の写真を一枚つけておきます。)実用的で、伝統的で、なおかつ、おしゃれなチテンゲ、アフリカに欠かせない文化です。
(2023年11月27日川井真由)