相模向陽館高等学校 > 学校概要 > まゆ先生のザンビアうるるんにっき > まゆ先生のザンビアうるるんにっき32
更新日:2025年3月31日
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川井真由先生は、神奈川県から推薦を受けて、令和5年4月からJICA(国際協力機構)の青年海外協力隊の一員として、ザンビア共和国に派遣されています。
“Zikomo kwambiri!”(ジコモクワンビーリ/“ありがとうございます”)
3月20日に帰国しました。日本のコンビニとトイレの快適さに、毎回感動している川井です。
2023年8月から始めたうるるんも、今回で32回目になりました。今年度最後のうるるんは、ザンビアの学校で行った音楽の授業について書きたいと思います。
ザンビアの小学校では、英語、算数、理科、社会、現地語(ニャンジャ語)、実技科目の6科目があります。
「うるるんにっき27」でも書きましたが、実技科目の授業では、体育、音楽、図工の内容が1冊の教科書にまとめられています。日本のように外で運動をしたり、画用紙に絵を描いたり、歌を歌ったりという授業は、ほとんどありません。
授業の基本は、「教科書に書いてあることを写す」。アフリカの多くの国では、そういった授業が行われています。というのも、実技の授業に必要な道具、教材が学校にはなく、先生自身も実技の授業を受けた経験がほとんどないので、教え方を知らないのです。
日本の人と比べて、身体能力が高く、歌も上手な人が多いのですが、運動会や文化祭などの学校行事もなく、表現する機会はほとんどありません。
子どもの頃にバイオリンを習っていたこともあり、「何か音楽にまつわることをやりたいな…」とぼんやり考えていました。そして、そんな話を、ザンビアの短大でピアノや音楽を教えている隊員にしたところ、彼女の教え子である音楽を専攻している学生(現地の人)とともに、定期的に音楽の授業をやろうということになりました。
それから、園児~2年生の子どもに向けて、リトミックと呼ばれる情操教育を月に一回ほど行いました。
ピアノの音をよく聞いて、「この音が聞こえたら立つ」、「この音が聞こえたら歩く」、「速さが速くなったら走る」…音に合わせて体を動かします。
始めた半年前は、音を聞いても「?」と周りを見てなんとか動いていた子どもたちでしたが、半年続けていく中で、自信を持って動けるように変わっていきました。
また、授業の中では、バイオリンとピアノの演奏を聴く時間、ザンビアの歌を歌って踊る時間などを設けました。
音楽とダンスが好きなザンビアの子ども達、「演奏を聴くときは真剣に」、「歌って踊る時はノリノリで」と、それぞれの場面に合わせて行動できるようになっていたことからも、子ども達の成長を感じ取ることができました。
3月上旬に行われた最終回で、私はベット・ミドラーのローズを演奏しました。この歌は、スタジオジブリの映画「おもひでぽろぽろ」の主題歌として「愛は花、君はその種子」としてカバーされています。
ザンビアでの1年8ヶ月、つらいこと、悲しいこともたくさんあったけれど、子ども達の笑顔、頑張り、まっすぐな視線に励まされて、なんとか完走することができました。子ども達は気付いていないかもしれないけれど、彼らの愛に助けられっぱなしの日々でした。
スラムの学校ということもあり、子ども達の暮らしている環境は、決して良いものとは言えません。その中でも頑張って学校に来て、勉強する子ども達と一緒に過ごせたことは、かけがえのない思い出となりました。
4月からは向陽館の教員に戻ります。
ザンビアを身近に感じてもらえたら良いなと思いながら書いてきたこのコラムもいったんおしまいです。私の目を通して見たザンビアの良さが少しでも伝わっていたら嬉しいです。
これまで、「ザンビアうるるんにっき」を読んでいただいてありがとうございました。
(2025年3月31日川井真由)