相模向陽館高等学校 > 学校概要 > まゆ先生のザンビアうるるんにっき > まゆ先生のザンビアうるるんにっき34
更新日:2025年10月2日
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Muli bwanji?
ご無沙汰しています。
校長のつぶやきにもあったとおり、8月に校内で先生向けの帰国報告会を行いました。
JICA関係者ではない大人に向けて話すのは、今回が初めて。
いざ発表に向けて準備を進めると「何をしていたんだっけ?」「何に困っていたんだっけ?」
……スマホの写真や、ザンビアで行った報告会のスライドを見返し、記憶をたどって、20ヶ月の出来事を発表しました。
1時間程度の報告会でしたが、先生方の反応や質問、報告会後のアンケートを見てみると、私の体験は、先生たちにとって「目からウロコ」の話であったことに気付かされました。
算数の時間、子ども達はノートに、机に、たくさんの棒を書きます。何をしているのでしょうか?
答えは、計算です。
例えば19+3という計算では、子ども達は13本の棒を書き、その横に9本の棒を書きます。そして、書いた棒を端から「1、2、3、……」と数えていき、「……、19、20、21、22!」と答えにたどり着きます。
「19本書いたものを、また1から19まで数え直すの?」「19までわかっているのだから、「20、21、22」だけ数えれば良いのでは?」
……でも、現地の子ども達はそのやり方でしか、計算ができないのです。
これはザンビアに限らず、途上国の多くでよく見られる光景です。
日本の子ども達のように数の概念が理解できていないため、棒を1から数えることでしか数字を理解できません。
私たちの「当たり前」が、そうではないことを伝えるエピソードの1つとして、先生方には強く印象に残った様子でした。
電気もガスも、水道もない。机もイスも全然足りず、黒板は使い古されて真っ白。
窓は枠だけでガラスがなく、トイレに行きたくなったら、校長先生の実家に学校から15分歩いていく。
当時はそれを当然のように受け容れていました。
でも、今回の報告会を通して、なかなかすごい環境だったこと、そして、何より、そんな環境であっても、子ども達が一生懸命勉強していたことに、改めて気付くことができました。
向陽館の生徒に負けず劣らず、コンパウンドの子ども達は、みんなとても頑張っていて、写真に写る子ども達の表情はどれも輝いていました。
先生が来なくなってしまうこと、学校経営のことで校長先生と意見が合わないこと、言葉の壁など、うまくいかないことはたくさんありました。
でも、やれることをやっていれば、必ず助けてくれる人がいました。
そんなことのくり返しの20ヶ月、活動の嫌だったことも、良かったことも全部包み隠さず話をし、無事(?)報告会は終了しました。
ちなみに、この話は「公共」や「政治経済」の授業でもしました。
生徒の反応は様々で、「価値観の違いに驚いた」「日本人はやはりお金と見られてしまう」「ステップの授業がザンビアで役に立っていたなんて」「私たちは恵まれている」「見ていてなんだか苦しいような悲しいような、でも楽しそうだなという相反する気持ちになりました」など、この答えのない問題に一人ひとりが向き合ってくれました。
この話を聞いてくれた先生や生徒が、世界をもっとより良いものに変えてくれる、報告会や授業を通して、そんな温かい気持ちになりました。
最後に、校長のつぶやきでもありましたが、ザンビアから来ていたライアンさんに、ザンビアの郷土料理シマを作ってもらいました。
向陽館の畑でとれたカボチャとサツマイモの葉っぱなどを玉ねぎ、トマト、油、塩などで味付けをし、家庭科の先生の力も借りて、完成!
初めてのザンビア料理に先生たちも大興奮でした。(ライアンさん、ありがとう。)
でも、何より驚いたのは、校長先生のコミュニケーション能力。カタコトの日本語のライアンさんと仲良くなり、その日のうちに肩まで組んで2ショット。
気持ちが伝われば、言葉なんていらないようです。
私自身がいろいろ気付かされた校内報告会でした。
(2025年9月22日川井真由)